保持型グリコシダーゼ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 08:25 UTC 版)
「グリコシダーゼ」の記事における「保持型グリコシダーゼ」の解説
保持型グリコシダーゼ(retaining glycosidase)は、2つのステップで反応を触媒する。それぞれのステップで立体構造をワルデン反転させるため、結果的にもとの構造を保持する。 反応には2つの残基が関係する。この残基は通常、酵素の有するカルボン酸基である。1つは求核剤、もう1つは酸/塩基として働く。 最初のステップで求核触媒残基はアノマー中心部にアタックし、中間体を生成する。この時、酸/塩基触媒残基はプロトンを供与する酸の役割を果たす。 次のステップでは、プロトンを奪われた酸/塩基触媒残基が塩基の働きをし、求核剤である水が中間体を加水分解する反応を助ける。最終的に加水分解された産物が生成される。下の例はニワトリ卵白のリゾチームである。 保持型グリコシダーゼにはもう1つの触媒メカニズムがある。この場合は求核残基が酵素ではなく、基質に結合することによって反応が進行する。このような反応は特定のN-アセチルヘキソサミニダーゼ(N-acetylhexosaminidase)で見られる。この酵素は隣接基と反応できるアセトアミド基を持っており、中間体としてオキサゾリン、もしくはオキサゾリニウムイオン(oxazolinium ion)を生成する。この場合もそれぞれのステップでワルデン反転を行うため、最終的に構造が保持される。
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