解釈文法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/13 14:27 UTC 版)
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解釈文法(かいしゃくぶんぽう)とは、主に古典を解釈するための文法を指す[1][2]。本記事では「日本の古典文学をいかに理解するか」を主とした文法学について取り上げる。
概要
鈴木康之によれば、「古典を現代語に訳すための文法として重宝されてきたということである。現に、高校の文法指導では文語の体系がどうであるかというようなことよりも、いかに現代語訳にしたらよいのかということに焦点があわされている」「その程度の訳しかたさえできればよいというのであれば、いまの文語文法でもわるくはない」という[3]。
古典作品を解釈するには、現代の文化と当時の文化の違いにも配慮する必要があるので、「意味解釈」には歴史的な理解も必要であり、単に「文法」にとどまらず、「その作品が、どのような文化的な背景によって創作されたか」に踏みこまざるを得ないので、「解釈文法」という呼称には異論がある。
具体例
助詞「が」は「とりたて詞のガ」の意味もあるが、「我が家」「君が代」などの「所属のガ」の意味もある。「これを現代語に訳すとしたら、どういう表現が適切であろうか?」というのが、解釈文法の立場である。この意味では、古英語やドイツ語などの外国語にも、解釈文法的な視線は向けられている。哲学科の学生は「ザイン」を「存在する」と脳内変換するとなだいなだは述べている。
脚注
注釈
出典
- ^ 時枝誠記 (1950), pp. 5–7.
- ^ 時枝誠記 & 増淵恒吉 (1953), pp. 7–8.
- ^ 鈴木康之 (1977), pp. 278–279.
参考文献
- 図書
- 時枝誠記『古典解釈のための日本文法』至文堂〈日本文学教養講座 第14巻〉、1950年12月。
- 時枝誠記、増淵恒吉『古典の解釈文法』至文堂、1953年5月。
- 鈴木康之『日本語文法の基礎』三省堂、1977年6月。ISBN 4385346836。
- 論文
- 橘誠「解釈文法としての敬語法の要点」『国文学』第4巻第3号、学燈社、1959年2月。
- 橘豊「連用形中止法」『日本語学』第2巻第9号、明治書院、1983年9月。
- 江湖山恒明「古今集・新古今集の解釈文法」『国文学 解釈と鑑賞』第48巻第2号、1983年1月。
- 佐久間まゆみ「文の連接:現代文の解釈文法と連文論」『日本語学』第2巻第9号、明治書院、1983年9月。
- 山口尭二「和歌の解釈文法」『日本語学』第2巻第9号、明治書院、1983年9月。
- 山口康子「会話引用形式:平安初期和文における二重引用」『日本語学』第2巻第9号、明治書院、1983年9月。
- 小山弘志「謡曲を読むために」『国文学 解釈と鑑賞』第48巻第2号、1983年1月。
- 小田勝「源氏物語の文法:解釈文法の復権のために」『日本語学』第29巻第1号、明治書院、2010年1月、40-48頁。
- 森修「西鶴の解釈文法」『国文学 解釈と鑑賞』第48巻第2号、1983年1月。
- 大野晋「古典語の助動詞と助詞」『国文学 解釈と鑑賞』第48巻第2号、1983年1月。
- 大野晋「万葉時代の文法」『国文学 解釈と鑑賞』第48巻第2号、1983年1月。
- 竹内美智子「物語の解釈文法」『日本語学』第2巻第9号、明治書院、1983年9月。
- 蔦清行「解釈文法的立場から見た抄物の接続詞:アレドモとサレドモの用法上の類似をめぐって」『國語國文』第91巻第12号、臨川書店、2022年12月、1-14頁。
- 土井洋一「平家物語の解釈文法」『国文学 解釈と鑑賞』第48巻第2号、1983年1月。
- 島田勇雄「解釈文法の原理」『日本語学』第2巻第9号、明治書院、1983年9月。
- 福田益和「解釈文法の立場より「もぞ」・「もこそ」についての私見」『語文研究』31・32、九州大学国語国文学会、1971年10月。
- 保坂弘司「解釈文法における助動詞の位相」『国文学』第4巻第2号、学燈社、1959年1月。
- 北原美紗子「源氏物語もう一つの読み方:解釈文法への道」『清泉女子大学人文科学研究所紀要』第26号、清泉女子大学人文科学研究所、2005年3月、1-23頁。
- 北原保雄「文法指導改善の視点:解釈文法の見直し(1)」『国語教室』第29号、1986年10月、16-19頁。
- 北原保雄「文法指導改善の視点:解釈文法の見直し(2)」『国語教室』第30号、1987年2月、30-32頁。
- 堀田要治「徒然草の解釈文法」『国文学 解釈と鑑賞』第48巻第2号、1983年1月。
- 門前眞一「言語段階観:解釈文法の効用と限界」『山辺道』第4号、1958年3月。
- 門前眞一「「水鳥二四毛有哉」私案:解釈文法とラングの学」『天理大学学報』第9巻2・3、天理大学、1958年3月。
- 林和比古「枕草子の解釈文法」『国文学 解釈と鑑賞』第48巻第2号、1983年1月。
- 鈴木丹士郎「芭蕉の解釈文法」『国文学 解釈と鑑賞』第48巻第2号、1983年1月。
関連項目
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