要綱試案(1994年)
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1994年に法務省民事局参事官室は、1996年の法制審議会答申へ向けた中間報告において、3つの案を「婚姻制度等に関する民法改正要綱試案」として提示した。 A案 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。ただしこの定めをしないことも可能(原則同氏、例外別氏)。 別氏夫婦は、婚姻の際に、夫又は妻のいずれかの氏を、子が称する氏として定めなければならないものとする。 別氏夫婦は、嬌姻後、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、夫又は妻の氏を称することができるものとする。 B案 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称することができるものとする(原則別氏、婚姻の際に特段の合意がされた場合にかぎり、同氏を称することができる)。 婚姻後の別氏夫婦から同氏夫婦への転換、及び、同氏夫婦から別氏夫婦への転換はいずれも認めない。 別氏夫婦の子の氏は、その出生時における父母の協議により定める。 C案 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称するものとする。 婚姻により氏を改めた夫又は妻は、相手方の同意を得て、婚姻の届出と同時に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、婚姻前の氏を自己の呼称とすることができるものとする。 婚姻前の氏を自己の呼称とする夫又妻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その呼称を廃止することができるものとする。 これらの案に対し、日本弁護士連合会は、A・B案は同氏・別氏のいずれかを原則としているが、優劣をつけるべきではないと批判。C案に対しては、氏の二重制はわかりづらく実質的にも平等でないと批判している。子の氏についてはB案を支持するが、協議が調わない、又は協議できない場合家庭裁判所の審判で定めるべきとする。 後の1996年の法制審議会答申では、現行制度の枠組みを維持しつつ希望者に別氏を認めるA案に同氏・別氏を対等とする修正を加え、B案と折衷した要綱案が作成された。法務省は2002年4月にも、A案と同様の案(例外的夫婦別氏案)を提示している。
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