西アジアにおける発祥
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/17 06:13 UTC 版)
アラビア語の名詞 ğazal の語根、ğ-z-l からは「糸紡ぎ」に関係する単語群が派生し、ğazal も原義は「紡ぐこと」である。女性を口説いたり誘惑したりする行為が「糸紡ぎ」に喩えられているうちに、「糸紡ぎ」を指す言葉が「恋愛詩」をも指す言葉になっていったものと推定されている。アラビア語においては、現代でも、恋愛を主題にした抒情詩であれば形式を問わず ğazal と呼び、ペルシア語においても同様の事情が存在する(広義の「ガザル」)。所定の形式、主題を具備したガザル(狭義の「ガザル」)が誕生する発端は、先イスラーム時代(ジャーヒリーヤ時代)にまで遡る。 ジャーヒリーヤ時代に遡る伝統的なカスィーダ詩の導入部分に起源を持ち、イスラーム時代以降は単一の主題を扱うキトア詩( قطعة qiṭ‘a 「断片詩」と訳される)の形で多くの作品が作られた。主題としては恋愛が最も多く、求愛者の片思いを歌う。アラブのガザル創始者は、ウマル・イブン・アビー・ラビーア(英語版)とされており、ジャーヒリーヤの遊牧世界の要素を受け継ぎつつ、独自の恋愛詩を作った。アブー・ヌワースは酒を讃える詩(ハムリヤート)とガザルの達人として知られた。ガザルは男女関係にとどまらず、同性愛もテーマにした作品もしばしば読まれた。 感情の表現には様式化された象徴や物語が用いられる。また、イスラーム神秘主義の影響もあり、恋人を神と解釈できる場合がある。現在のような詩型となったのはペルシア文学の影響による。ペルシア・ガザルの大家としては、ルーダキー、ルーミー、ハーフィズがいる。
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