血液検査および画像診断
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 02:42 UTC 版)
髄膜炎が疑われる場合、血液培養と同時に血液検査を実施し、C反応性蛋白、全血球計算等を炎症マーカーとして利用する。 髄膜炎の診断と除外に最も重要とされるのは、腰椎穿刺(LP、spinal tap)による脳脊髄液の分析である。ただし、脳内に占拠性病変(脳腫瘍や膿瘍など)があるか頭蓋内圧(ICP)が高値を示す場合、脳ヘルニアの恐れがあるため腰椎穿刺は禁忌である。患者に占拠性病変かICP亢進のリスクがある場合 (最近頭部に怪我をした、免疫系に問題がある、神経系の徴候がみられる、ICP亢進のエビデンスがある等)、腰椎穿刺の前にCTまたはMRI撮影が推奨される。これは成人患者の45%に該当する。 なおガイドラインによれば、LP前にCTまたはMRIが必要な場合やLPが困難である場合、治療の遅れを防ぐためまず抗生物質を投与すべきであり、特に30分以上治療が遅れる場合は強く推奨される。また、のちに髄膜炎合併症を評価するためCTまたはMRIスキャンを実施することが多い。 頭部MRIでは髄膜の異常増強効果で髄膜炎の診断の手がかりになるとされている。異常増強効果は硬膜、硬膜下、くも膜が主体のDA型(dura-arachnoid pattern)とくも膜下、軟膜が主体のPS型(pia-subarachnoid space pattern)が知られ、それぞれびまん性と限局性が知られている。 DA型限局性 髄膜腫などのdual tail signや悪性腫瘍の硬膜転移、開頭術やシャント術後、サルコイドーシス、関節リウマチ、肥厚性硬膜炎、脳出血や脳梗塞や脳静脈瘻近傍の硬膜、頭蓋の腫瘍や炎症周囲の硬膜などで認められる。 DAびまん型 開頭術やシャント術後、くも膜下出血後、がん性髄膜炎を含む髄膜炎や特発性低髄液圧症候群などで認められる。 PS限局型 サルコイドーシス、sturge-weber症候群やリウマチ性髄膜炎(軟膜炎)などで認められる。 PSびまん型 くも膜下出血後、各種薬剤の髄注、がん性髄膜炎を含む髄膜炎、サルコイドーシスなどで認められる。 重度の髄膜炎では、血中電解質のモニタリングが重要であるとされる。例えば細菌性髄膜炎では脱水や抗利尿ホルモン (SIADH)の不適合分泌、過度な点滴静脈注射などのいくつかの要因が絡んで低ナトリウム血症を来たす例が多い。
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