蝸牛増幅器とは? わかりやすく解説

蝸牛増幅器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 22:59 UTC 版)

蝸牛」の記事における「蝸牛増幅器」の解説

現在、実際蝸牛管機構をうまく表すにはこれ以外にいくつかの非線形 (nonlinear) の効果無視し得ないことが明らかになっている。 例えば、音圧レベルおよそ 3090 dB SPL1000 倍の圧力違い相当する広い範囲にわたり、基底膜振動速度は数倍し異ならない。 このことは基底膜線形フーリエ変換のようなものではなく非線形能動フィルターであるとみなさなければならないことを示している。 こうした非線形機構としては蝸牛増幅器 (cochlear amplifier) とも呼ばれる巧妙なエネルギー散逸を伴う機械的フィードバック回路考慮されている。 蝸牛電子工学における再生回路のように働き、この仕組みによってはっきりしていなかった外有毛細胞コルチ器機能的役割明確になった。 外有毛細胞内有毛細胞同じく不動毛のずれによって膜電位変化させるがこれは信号として伝えられるではなく運動細胞として外有毛細胞自体長さ変化させている。 これは細胞膜にある電位依存性タンパク質モーター (motor protein) によるもの考えられ外有毛細胞のみに密集して存在するプレスチン (prestin) と名付けられタンパクがそれであろう考えられている。 外有毛細胞はこれにより最大20 kHz上もの周波数振動でき、これは生体内他の運動細胞よりはるかに高速動作である。 有毛細胞実際基底膜を伝わる進行波動き変化させていることは、1991年初め実験的に示され、またこの振動によって上の非線型性説明するモデル提出されている。 また、液体相互作用と蝸牛増幅器の効果考慮した場合基底膜振動隣接する周波数領域抑制するようにはたらくと推測され、これは周波数選択性上げ効果をもつことが示唆されてきた。 一方で動物実験では、音声のようなに対して聴神経固有振動数大きく異なっているものでも同じよう反応をすることが報告され聴神経がむしろ広い周波数反応することが示唆されている。 これらの一見矛盾する報告は、蝸牛役割純音対す反応重ね合わせとして記述できる線形特性を持つものとしてではなく音の生物学的に味のある特徴適切に選択するような非線形効果をもつものとして記述せねばならないことを示唆している。

※この「蝸牛増幅器」の解説は、「蝸牛」の解説の一部です。
「蝸牛増幅器」を含む「蝸牛」の記事については、「蝸牛」の概要を参照ください。

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