著作権の行使
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 18:14 UTC 版)
アバンダンウェアの著作権は積極的には行使されないことが多い。これは著作権者である企業が著作権を譲渡することなく廃業状態となった場合もあるし、そのソフトウェアが古くなったことから、意図的に著作権を行使しない場合もある。ただし、一部の企業は利益を生み出さなくなった古いゲームなどの著作権を強烈に主張している。 アバンダンウェアを著作権者の許諾なしに利用することを認めるべきとする見解の支持者は、新しいソフトウェアをコピーするよりもそのような古いソフトウェアのコピーを作る方が罪は軽いと主張する。著作権法を知らない人がこの意味を取り違えてアバンダンウェアを合法的に配布可能と信じてしまうことがあるが、著作権の保護期間が満了するほど古いソフトウェアは存在しないし、開発した企業が既に存在していないとしても著作権を誰かが譲り受けている場合もある。 アバンダンウェアであるとしても、著作権は存続しているので、このソフトウェアの転送(ダウンロード)は著作権侵害である。著作権を行使するためにかかる金と時間が、そのソフトウェアを販売して得られるものよりも大きいと推定されるアバンダンウェアが配布されている。インターネット上のアバンダンウェアの存在は、その著作権を著作権が防御しようとしているかどうかに依存している。例えば、コレコビジョンのゲームはインテレビジョンのゲームよりも見つけやすい。前者のゲームを販売している会社は既に存在しないが、後者のゲームを販売している会社は今も存在しているからである。 企業はソフトウェアの著作権を放棄してパブリックドメインにしたり、フリーウェアやオープンソースにライセンス形態を変更したりすることがある。id Softwareはいち早くそのような方針を採用した企業であり、古いゲームをオープンソースライセンスでリリースしている。別の例としてAmstradがある。AmstradはZX SpectrumのハードウェアROMのエミュレーションのサポートとソフトウェアの無料配布を行っている。パブリックドメイン化やフリーソフトウェア化は完全に合法であり、アバンダンウェアとは区別して考える必要がある。ソフトウェア企業がソフトウェアをフリーに配布することは珍しい。しかし、ノベルやサン・マイクロシステムズなど多くの企業は実験的に最新ソフトウェアをオープンソースのフリーソフトウェアとしてリリースしている。その場合、ユーザーはソフトウェアを再配布可能であるだけでなく、オリジナルと同じライセンスでリリースするという条件で販売したり改造したりすることができる。 最近ではマイクロソフト等も限定的ではあるがそれらに追随する動きがある。 日本国内ではこういった動きに対して反応する企業は非常に少ないが、アリスソフト等、ごく一部にこのような動きに追随し古いソフトウェアを特定ライセンスの元で開放する場合もある。
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