著作権の発生要件としての要否
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:21 UTC 版)
「著作権表示」の記事における「著作権の発生要件としての要否」の解説
著作権表示は、国内での著作権保護に対しては、本国が方式主義か無方式主義か、相手国が方式主義か無方式主義かに関わらず、不要である。必要なのは、万国著作権条約に加盟している無方式主義国の著作物が、方式主義の国で著作権保護を受けたい場合である。 かつてはアメリカ合衆国や一部の中南米諸国が方式主義の万国著作権条約加盟国であり、著作権表示はそれらの国で著作権保護を受けるために必要であった。しかし、アメリカは1988年10月31日に著作権法を改正して無方式主義に切り替え、1989年3月1日に改正が発行し同日にベルヌ条約に加盟した。中南米諸国もまもなくそれに倣った。その後は、方式主義のサウジアラビアが1994年7月13日に万国著作権条約に加盟したが、2004年3月11日にはベルヌ条約にも加盟した。 現在では、ほとんどの国はベルヌ条約加盟国(したがって無方式主義)である。わずかな非加盟国もほとんどは、そもそも万国著作権条約にも加盟しておらず、著作権表示は(著作権が認められるか認められないかはともかく)意味がない。なお、双方に非加盟の国(地域)として台湾が有名だが、TRIPS協定加盟国なのでベルヌ条約相当の条約義務を負っている。 万国著作権条約に定める著作権表示が著作権の発生要件として有効な国があるとすれば、 方式主義(したがってベルヌ条約に非加盟)で、かつ、次のいずれかである。万国著作権条約加盟国。 万国著作権条約にも非加盟だが、万国著作権条約とは無関係に著作権表示を認めている国。 2017年現在、ベルヌ条約に非加盟で万国著作権条約のみを締結している国はカンボジアだけとなっている。しかし、カンボジアもベルヌ条約自体は締結していないものの2004年のWTO加盟によりTRIPS協定9条1項の適用を受けることとなり、ベルヌ条約の1条から21条の条項及び附属書の遵守義務を負ったため実質的に無方式主義に転換している。
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