舞台発音
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 03:59 UTC 版)
ドイツ語には「舞台発音」(Bühnenaussprache)または舞台ドイツ語 (de:Bühnendeutsch) とよばれる発音の伝統がある。 書き言葉としての標準語である「新高ドイツ語」は15世紀には確立されたものの、発音に関しては19世紀まで統一された規範は無く、各地の訛りによって話されていた。 ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは、戯曲は方言の訛りのない純粋な発音で上演されなければならないと感じ、劇団がドイツのどこの地方で公演しても科白が通じ、しかも大きな舞台でも明瞭に聞き分けられる発音が舞台関係者の間で探求され、これらはドイツ語の標準語発音の確立に影響を与えた。 19世紀の末になった1898年にベルリンで独語学者と舞台関係者により会議が開かれ、統一された標準語発音の規則が体系化された。同年にテオドール・ジープス (de:Theodor Siebs) がこれらの規則をまとめた「ドイツ語舞台発音」の初版を出版し、この発音は古典演劇やオペラ、歌曲などの声楽、朗読や演説で用いられただけでなく、20世紀前半までは規範とすべき標準ドイツ語の正しい発音とされていた。例えば、ドイツにおける権威ある辞書とされる"Duden"の6.Das Aussprachewörterbuch(発音辞典)では1960年代まで舞台発音に基づく発音記号が書かれ、日本においては1992年発行の三修社「現代独和辞典」1354版でも舞台発音に基づく発音記号のみが書かれていた。
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