自己調節機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/27 05:44 UTC 版)
「ジャイナ宇宙論」および「ジャイナ教と反創造論」も参照 インド学者のロバート・J・ザイデンボスによれば、カルマは自然法則の体系であり、この中で、道徳的な意味を持つ行動が物理的行動と同様に何らかの結果を引き起こす。リンゴを持っている人がそれを放り出すと、リンゴは落下する。そういう判定がなければ、関連して道徳的判定もなくなる、というのはこれは物理的行動の機械的な結果だからである。同様にして、人が嘘をついたり、物を盗んだり、無意味な暴力を働いたり、悦楽的な生活を送ったりすると当然それに応じた結果が生じる。こういった結果―道徳的な褒賞あるいは報い―が何らかの神の裁きの結果だと決めてかかるよりもむしろ、宇宙には生来道徳的秩序が存在し、カルマの法則を通じての自己調節が行われているとジャイナ教では信じられている。ジャイナ教において道徳や倫理が重要なのは、神のためではなく、道徳的・倫理的原理(マハーヴラタ)に従って送られる生活が有益だからである。それによってカルマが減り、最終的には全く無くなり、続いて永遠の幸福が得られる。ジャイナ教のカルマの概念は神から救済の能力を剥奪し、その能力を人間自身に与えるものである。ジャイナ教研究者のJ・L・ジャイニはこう言っている: 他の宗教ではなくジャイナ教こそが人に究極的で宗教的な独立・自由を与える。我々の行う行為とその結果との間に何ものも入ることはできない。一たび何らかの行為が成されると、その行為が私たちの主人となり、必ず結果をもたらす。私の独立性が大きいので、私の責任もそれに伴う。私は自分の好きなように生きるが、自分の発言を取り消すことはできないし、発言の結果から逃れることもできない。神や神の預言者、代理人、愛されが人間の生活に干渉してくることはない。霊魂が、そして霊魂だけが自らの成す全てのことに責任を持つのである。
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