自己認知以外の鏡の利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 23:02 UTC 版)
「ミラーテスト」の記事における「自己認知以外の鏡の利用」の解説
大型類人猿以外の哺乳類はこれまでの所、一様に、ミラーテストで失敗している。しかしながら、3種類のテナガザルを用いたミラーテストでは、自己認知の有力な証拠が得られている。ただし、テナガザルは標準的な形式のミラーテストでは失敗しているという事実はある。 アカゲザルはミラーテストで失敗している。しかし、彼らは、鏡でなければ見えない箇所、例えば生殖器や頭部の体毛の埋没物などを詳しく見るために鏡を使った。これは少なくとも、部分的な自己認識なのではないかと推定されているが、異論もある。 ブタは鏡の視覚的情報を利用して餌を見つける事ができる。また、ブタは鏡像を見て、自己認知している証拠が得られている。ある実験では、8頭中7頭のブタが、壁で隠れているが鏡に映っている餌入りのボウルを発見する事ができた。残りの1頭は餌を求めて鏡の後ろを覗き込んだ。BBC Earthは「驚異の動物」(Extraordinary Animals)シリーズでフードボウルテスト(foodbowl test)と形状に一致する穴を選ぶテスト("matching shapes to holes" test)を放映した。 ハトは、強度の訓練を施した場合、改変を加えたミラーテストで成功する事ができる事を、バラス・スキナーが発見した。実験では、ハトを訓練し、鏡を覗き込み、背後にあるレスポンスキー(response key)を見出して、振り返ってそれを突けば、餌が得られる事を覚えさせた。これはつまり、ハトは鏡を用いて環境から有用な情報を引き出す術を習得したという事である。次に、体毛の上に設置された点を突くと、餌が出てくるようにして、それを覚えさせた。2番目の訓練は鏡の無い状況で行われた。次にハトに小型の胸当て(bib)を付け、自分からはそれに遮られて、下腹部に記された点を見えないようにした。比較のため、鏡の無い状況に置いた場合、ハトが点を突く事は無かった。鏡が与えられると、ハトは活発になり、鏡を覗き込み、胸当ての下に位置する点を突こうとした。なお、訓練を受けていないハトがミラーテストで成功する事はなかった。 オニイトマキエイ(manta ray)は鏡を前にすると、反復的行為を取り、身を翻して下部を見せたり、鰭を動かしたりした。鏡の前で泡を出すという普段には見られない事をした。鏡像に対して、社会的反応を示さなかったので、鏡像を別のオニイトマキエイであるとは認知していなかったと推定される。しかし、体表にマークをつける古典的ミラーテストは同種にはまだ行われていない。
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