腐蛆病・ノゼマ病
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/18 09:26 UTC 版)
腐蛆(ふそ)病や、微胞子虫の真菌性「ノゼマ病」がCCDの正体ではないかとする説がある。ペンシルベニア州の蜂の標本では高い比率のノゼマ病感染が報告されたが、他の場所からは同一パターンの報告がなかった。 2006年にスペインのグアダラハラ国立農業センターのマリアーノ・イゲスは、セイヨウミツバチの巣がノゼマ病微胞子虫に感染すると、8日以内にコロニーの成員が消えたことから、CCDがノゼマ病微胞子虫により生じると結論付けた。イゲス率いる研究チームは2000年以降この問題に取り組み、他の潜在的な理由を除外することができたと主張している。しかし、CCDに影響された蜂の集団に対して2009年にアメリカ合衆国において実施された大規模な調査からは、CCDには病原体と他のストレス因子との相互作用が関与している可能性が高いものと示唆されている。実際、CCDであるか否かにかかわらず、調査されたコロニーの半数しかノゼマ病微胞子虫に感染していなかったという結果が報告されており、ノゼマ病ですべての発症例を説明することはできない。 「ノゼマ病」に対して使用される主な抗生物質は、フマギリン (Fumagillin)である。これは微胞子虫を減らすというドイツの研究計画で使用され、蜂群崩壊症候群研究グループが治療方法の可能性として言及している。2009年のスペインの研究では、崩壊を起こしているコロニーにフマギリンを投与したところ、蜂が死ぬのが食い止められコロニーを存続させることができた。この研究について雑誌 Nature に掲載されたレビューは、期待の持てる結果であるとしながらも、「『ノゼマ病微胞子虫』はコロニー崩壊のすべての事例の原因であるというわけではないかもしれない」と注意を喚起している。ヨーロッパの様々な地域でこの真菌が報告されたものの、CCDとの直接の関係はまだ確立されていない。 2007年、ノゼマ病微胞子虫が関係しているという極めて限定的な証拠がカリフォルニア(USA)のマルセドバレー地域における一部の蜂の巣で報告された」。 しかし、この研究者はこれがCCDとつながる決定的な証拠であるとは考えていなかった。「我々はこれで問題が解決したという印象を与えたくはない。」USDAのあるミツバチ研究者も同様に、「寄生虫、ノゼマ病微胞子虫は要因の1つかもしれないが、これが唯一の原因ではありえない。真菌は以前から無事なコロニーにおいても時々見ることができるからだ」と述べている。 同様に「ノゼマ病微胞子虫」を自分の蜂の巣でよく知っているワシントン州のある養蜂家は、これをCCDの原因と考えていない。
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