罠をかけた側が罠に落ちる
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 06:16 UTC 版)
「モティア包囲戦」の記事における「罠をかけた側が罠に落ちる」の解説
紀元前405年、アイゴスポタモイの海戦でリュサンドロス率いるスパルタ海軍は、停泊中のアテナイ海軍の大部分を鹵獲することに成功している。ヒミルコが北方に停泊しているディオニュシオスの艦隊を最初に攻撃せずに、南方に停泊していた輸送船を攻撃した理由は不明である。もし、ディオニュシオスが艦隊を失っていたら、包囲を中止して撤退せざるを得ず、ヒミルコはシュラクサイを攻撃する機会を得た可能性がある。 攻撃開始は遅れたものの、ヒミルコはシュラクサイ艦隊をペルシア戦争のサラミスの海戦におけるペルシア艦隊と同様な状況に追い込んだ。すなわち、カルタゴ艦隊は十分に機動できる余裕がある水域にあり、ギリシア海軍にはそれがなかった。このため、質(ギリシア海軍は大型の五段櫂船を有していた)・量ともに上回るギリシア海軍は、当初その優位を活かせなかった。ディオニュシオスは艦隊を出撃させたが、水深が十分でないため、南のカルタゴ艦隊に向かえたのは一部でしかなかった。このため、ヒミルコは数でもまた機動性においてもギリシア艦隊に対して優位を得た。 しかしながら、ディオニュシオスは出撃する船に多数の弓兵と投擲兵を乗せており、また陸上からは大型弩弓で支援した。乗船した弓兵や投擲兵がカルタゴ軍の三段櫂船と戦ったが、これによってカルタゴ艦隊が停泊中のギリシア艦隊に接近することを阻止できた。シケリア本島とルンガ島(現在のグランデ島)北部の間は軍船が通過できない浅瀬であったが、ディオニュシオスはそこに急遽木製の人力牽引用の足場を作らせ、80隻の三段櫂船を外洋に脱出させた。これら艦隊はルンガ島を回って南下を開始した。このためカルタゴ艦隊には南北から挟撃される危険が生じた。ヒミルコは数に勝る敵との二正面戦闘を避け、モティアを撤退してカルタゴに向かった。
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