縮刷版における記事の訂正・削除
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 15:53 UTC 版)
「新聞縮刷版」の記事における「縮刷版における記事の訂正・削除」の解説
原則として誤植・誤報・表現上の問題などがあった場合でも紙面の編集・加工などはせず原版をそのまま掲載しており、また訂正記事もそのまま載せているが、例外も存在する。 『朝日新聞縮刷版』は、1989年(平成元年)9月号まで、「実際の紙面の記録」より「資料」性を重視する方針から、「訂正」や「おわび」の元になった記事、誤りのあることがわかった記事は修正した形で掲載してきた。また、訂正文を削除して穴埋めを載せる、という方針であったため、実際の紙面と食い違いが生じる場合がしばしばあり、「間違いをこっそり直した」といった批判を受けるなどの問題もあった。1989年10月1日より、訂正文をより丁寧で目立つ形で掲載する方針となったことを機に、縮刷版についても、1989年10月号からは、記事の間違いは間違いのまま、訂正記事もそのままで出版する、という方針に切り替えている。 以下に、この方針転換以前の例を挙げる。 1943年1月1日付『朝日新聞』に掲載された中野正剛の「戦時宰相論」は、東條英機首相を批判した内容として掲載後に記事差し止めとなったため、縮刷版には収録されていない。当時の取り締まりでは、どの記事が差し止めになったかということ自体も報道できなかったため、縮刷版では埋め草として、実際の1月1日付紙面には掲載されなかった記事が掲載されている。 1950年9月27日『朝日新聞』朝刊の「伊藤律会見報道事件」といわれる捏造報道問題の箇所は、同年10月に発売された縮刷版で「お断り ここに掲載された伊藤律氏の会見記は事実無根と判明しましたので全文削除しました」として、当該記事の掲載を削除している。 1989年4月20日『朝日新聞』夕刊に掲載された写真記事「写89・『地球は何色?』」で、のちに「記事ねつ造事件」という大問題にまで発展した「サンゴを汚したK・Yってだれだ」の記事については上記の伊藤会見捏造事件と異なりそのまま掲載されているが、当該記事緒欄外に「おことわり 写89・『地球は何色?』の写真については本社の取材に過ちがありました。『お詫び』を5月16日付と同20日付の朝刊1面に掲載しています」との謝罪文が掲載されている。なお、当初は縮刷版から削除する方針と伝えられていたが、おわび記事との整合性がとれなくなるとして残すことにしたものという。同様の例として三億円別件逮捕事件の関連記事について国立国会図書館においても「関係者の人権に留意して利用するよう」閲覧者に向けた注意書きが添付されている。
※この「縮刷版における記事の訂正・削除」の解説は、「新聞縮刷版」の解説の一部です。
「縮刷版における記事の訂正・削除」を含む「新聞縮刷版」の記事については、「新聞縮刷版」の概要を参照ください。
- 縮刷版における記事の訂正・削除のページへのリンク