統計データの電気集計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 15:52 UTC 版)
「ハーマン・ホレリス」の記事における「統計データの電気集計」の解説
アメリカ合衆国統計局(当時は国勢調査局)は10年に1度国勢調査を行っていたが、1880年の国勢調査は集計作業が9年もかかっていた。ホレリスは大学卒業後に国勢調査局のジョン・ショウ・ビリングス統計部長に誘われて助手として働いた、そして、この大変な作業を目にしたのである。また、このままでは1890年の国勢調査は10年以内に集計が終わらないことが確実だった。 ホレリスは1882年にMITの機械工学科で過ごした。その間にパンチカードにデータを格納するシステムを試作している。これは、鉄道の車掌が乗車券の様々な場所に穴を開けることで持ち主の状態を表すことからヒントを得たものであった。ジョン・ショウ・ビリングスに示唆を受けて、ホレリスはパンチカード上の各位置に穴があるかどうかを電気的に検知して集計する仕組みを開発した(バネ付きの針の並んだ板と水銀の入ったトレーの間にパンチカードを挟んで針が水銀につくと導通して穴があることがわかる)。ビリングスが示唆した鍵となるアイデアは、個々のデータを全て数値に置き換えることであった。ホレリスはパンチカードの所定の位置に数値を記録すれば、それを元にカードを機械的にソートし、所定の桁位置のデータを集計できると気づいた。1888年、国勢調査局は統計作業を効率化するための発明コンテストを行い、ホレリスのシステムが選ばれた。これにより、1890年の国勢調査でホレリスのタビュレーティングマシンが大々的に使われることになった。 このシステムについて解説した論文 An Electric Tabulating System (1889) はホレリスが博士論文としてコロンビア大学に提出し、後に本にも収録されている。 彼は1889年1月8日の特許395,782号で自身のアイデアを以下のような請求項で記述している。 非導電性の素材でできたシートに穴を開け、個々の穴や穴の組み合わせで個々の統計項目を記録し、規格化された充分な強度を持った穴あきのシートで制御される電磁石回路によって操作された機械式カウンターによって統計項目を個別または組み合わせて数えることで構成される、統計を編集するここに説明された方法。 次の世紀のコンピュータ時代のこととなるが、初期のFORTRANにおいて、文字列リテラルは 11HHELLO WORLD のように先頭に「文字数n + 'H'」を付けて表した。この H はホレリスに由来するものとされ、このリテラルによる定数はホレリス定数(en:Hollerith constant)と呼ばれた。
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