結婚の策略
★1.自分が目当ての人と結婚するために、その妨げとなり得る人をまず結婚させてしまう。
『源氏物語』「総角」 薫が宇治の大君に求愛するが、大君に結婚の意志はなく、大君は「妹・中の君を薫にめあわせて、自分は独身のまま妹の後見をしよう」と考える。それを知った薫は、中の君のもとへ匂宮を導き2人を結婚させてしまい、大君のもくろみをくじいて、「この上は私と結婚なさい」と迫る。しかし大君はいよいよ心を閉ざし、やがて心労で死ぬ。
★2.娘を結婚させるために、寡夫の父親が「自分も再婚する」と嘘をつく。
『晩春』(小津安二郎) 大学教授曾宮は早くに妻をなくし、娘紀子(のりこ)と2人暮しである。27歳の紀子は、「父の世話をする人がいなくなる」との理由で嫁に行こうとしない。曾宮はやむをえず、「自分も再婚するつもりだ」と嘘をつく。紀子は父を恨みつつも、父の勧める男と見合いし、結婚する。
★3.両親が息子をあざむき、息子の望む花嫁とは別の女性と結婚させる。
『紅楼夢』第96~98回 賈宝玉と林黛玉は前世からの因縁で(*→〔転生〕4)、恋し合う間柄だった。しかし林黛玉は神経質で病弱な娘だったので、賈宝玉の両親は、おおらかで健康な薛宝釵を、息子の妻にしようと考える。賈宝玉が身につけていた玉を失い痴呆状態になった時期(*→〔玉(珠)〕1)に、結婚が準備され、式が行なわれる。賈宝玉は、林黛玉と結婚したものと思い込み、花嫁のかずきを取ると薛宝釵だったので驚く。病臥していた林黛玉は、結婚式当日、賈宝玉を恨んで息絶える。
★4.偽装結婚。
『鍵』(谷崎潤一郎) 45歳の郁子は、20歳年下の娘・敏子よりも、容貌の点でまさっていた。郁子は、娘・敏子の恋人・木村と関係を持ち、56歳の夫を死に追いやった。木村の計画では、やがて彼は敏子と結婚した形式を取って郁子の家に同居する。敏子は世間体を繕うべく、母・郁子のために犠牲になる覚悟らしい。
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