経営に関する統制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 21:14 UTC 版)
吉見義明は、民営であっても、軍は慰安所の経営に関し厳しく監督・統制したとしている。 業者は、慰安婦との契約内容について軍/軍政(英語版)の認可を受けねばならず(馬来軍政監部の規程)、業者と慰安婦の売上高の配分比も軍が決定した。こうして決められた条件は、内地の遊郭に比べ慰安婦側にやや有利だったと、秦郁彦は述べている。 中国の広東省に駐留していた部隊では、月報の形で営業主に「営業主の収入」「慰安婦の収入」「慰安婦の商売日数」等を報告させていた。 シンガポール(昭南島)やマレー半島でも、業者は、営業収入等の情報を軍政に報告する事を義務付けられていた(「管理人の日記」「馬来監達第二九号」)。 長沢健一は、前任の兵站司令部の軍医が、業者が慰安婦を搾取する構造を是正する為に、様々なルール作りを行ったことを記している。朝鮮人業者の中には証文などの類が一切ない例もあり、女性たちも自分たちが悪条件の下に置かれていることを自覚していなかったという。山田清吉(元兵站副官)も、長沢から聞いた話として、初代の兵站司令官の下で、副官や慰安係長らが、業者によって奴隷状態に置かれていた朝鮮人慰安婦らを内地人同様に借金制度に切り替えたと書いている。 陸軍経理学校では慰安所の経営についても講義があったといわれ、陸軍経理学校を卒業した鹿内信隆は「調弁する女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいいとか悪いとか、それからムシロをくぐってから出て来るまでの、〝持ち時間〟 が、将校は何分、下士官は何分……といったことまで決めなければいけない(笑)。こんなことを規定しているのが『ピー屋設置要綱』というんで、これも経理学校で教わった。」と述べている。
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