組織に対する批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 17:19 UTC 版)
「新しい歴史教科書をつくる会」の記事における「組織に対する批判」の解説
つくる会元会長の田中英道は著書『新しい日本史観の確立』(文芸館)の中[要ページ番号]で、日本近代史にのみ熱意を燃やす「つくる会」の運動に疑問を呈し、もっと幅広い歴史観の見直しの必要性があると指摘している。 『新しい歴史教科書』が2001年検定の白表紙本の内容が漏洩・報道されたが、その白表紙本の序文「歴史を学ぶとは」の冒頭において、再び「歴史は科学ではない」と宣していたことが判明した。そのため、強い批判にさらされ、従来つくる会に対し好意的であった多くの歴史学者からすら支持を失う決定打となった。なお一連の記述は、文部科学省の意見がつけられ検定合格本から全面削除されている。 『新しい歴史教科書』を2002年度に採択したのは、私立中学校20校と公立学校6校であったが、公立学校でこの時採択されたのがいずれも養護学校であったため、障害者団体から政治的理由によるものとして批判の声が上がったという。 上杉聰(日本の戦争責任資料センター事務局長)が、2005年発刊の共著『使ったら危険「つくる会」歴史・公民教科書』(明石書店)の中[要ページ番号]で、扶桑社の営業赤字の原因を一連のつくる会の教科書問題のためとして、近い将来扶桑社が教科書発行から手を引く可能性を指摘した。現実に、前述のようにつくる会との関係を解消したうえに別会社に移管することになった(育鵬社は扶桑社の100パーセント子会社)。 佐藤学東京大学大学院教授は、つくる会を「一般に言われているような右翼団体ではない。ナショナリズムを掲げた愛国主義者ではない」として「政治組織にして企業組織」と主張しており、それによれば、「大東亜戦争は日本の自衛戦争であり、アジア解放の戦争であった」と主張する言論は特定の層にとって商品価値があり、「南京事件や従軍慰安婦は幻だった」という主張を出版し、それらを販売するのであるとしている。そのためつくる会との論争は会の自説をもっともらしく宣伝する恰好の手段である。そのため、たとえ虚妄の歴史観であっても「正史」とする欲望に捉われているため、つくる会との相互の認識を深めることはできないとしている。 山崎雅弘は、戦後の歴史観を「自虐史観」と批判する勢力は、先の戦争中に大日本帝国が国策として展開した「思想戦」や「宣伝戦」の継続を行っているとしており、また、日中戦争、太平洋戦争中に大日本帝国が展開した「思想戦」や「宣伝戦」の継続だとしたら、後者が最終的にどのような結果を日本にもたらしたかを踏まえることで、「思想戦」や「宣伝戦」の行く末や、それが日本国民にもたらしうる結果についても、ある程度予見することができる(日本が世界から孤立し、敗北する)と主張している。
※この「組織に対する批判」の解説は、「新しい歴史教科書をつくる会」の解説の一部です。
「組織に対する批判」を含む「新しい歴史教科書をつくる会」の記事については、「新しい歴史教科書をつくる会」の概要を参照ください。
- 組織に対する批判のページへのリンク