組成など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/04 08:44 UTC 版)
異常部分分散性・低分散性を持つレンズである蛍石レンズはフッ化カルシウムの人造単結晶を削りだしたもので、ガラスではない。このフッ化カルシウムの単結晶の製造は、技術的にかなり困難で、素材が軟らかく割れやすいため切削・研磨が困難である等欠点が多い。そのため代替品が求められてきた。この要望を背景に、開発されたのが異常分散ガラスである。製品としてはオハラの「S-FPL51」や「S-FPL53」、ドイツ・ショットの「FK51」などがある。 多くは既存のガラス(ケイ素酸化物系)に無機フッ素化合物や無機リン酸化物・ホウ素化合物などを加えて特性を改良したものであるが、リン酸クラウンガラス(PK)などケイ素成分を含まないものも存在する。 色収差をさらに低減させたレンズを「SDレンズ」と呼ぶこともあるが、EDレンズとの境界は不明瞭で、場合によってはほぼ同様の意味で用いられる。一般的に世界各国では、両者を概括してEDと呼び、SDの呼称は一般的ではない。しかし、日本ではこれらを区別しており、蛍石に非常に近い特性を持つものをSDガラス、近い特性を持つものをEDガラス、としている。 1969年に蛍石を写真用レンズに世界で初めて使用したキヤノンは、カタログなどにおいて、UDレンズと蛍石レンズの性質に関して「UDレンズは2枚で蛍石レンズ1枚に相当する」と謳っている。 多様な光学機器の設計及び製造に関して重要な光学的性質である、異常部分分散性は蛍石に劣るものの、コストと耐候性では有利である。
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