組成と特性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 16:56 UTC 版)
赤褐色の液体で劇薬である。通常、消毒に用いられるのは2倍に希釈した希ヨードチンキ(こちらは劇薬ではない)であるが、一般にはこれもヨードチンキと呼ばれている。 ヨウ素は水にはほとんど溶けないが、有機溶媒の一種であるアルコールに対しては比較的溶ける。ヨードチンキもヨウ素をエタノールに溶かしたもので、添加物としてヨウ化カリウム (KI) が含まれる。 K I + I 2 ↔ K + + I 3 − {\displaystyle {\rm {KI+I_{2}\leftrightarrow K^{+}+I_{3}^{-}}}} という反応でヨウ素を三ヨウ化物イオンとしてイオン化させてさらに水溶性を増すのが目的である。ヨードチンキ100 mL中には6 g、希ヨードチンキには3 gのヨウ素が含まれる。本来チンキ剤の意味は「生薬をエタノールに浸したもの」なのでヨードチンキはチンキ剤ではない。しかし、慣例でヨードチンキが正式な名前になっている。 ヨードチンキの処方の応用としてルゴール液(一般名:複方ヨード・グリセリン)がある。ルゴール液はエタノールの代わりに三価アルコールのグリセリンを使用する。グリセリンを使用することで、液に甘みと粘性が加えられ、咽頭に塗布して消毒するのに適した剤形になる。ルゴール液は耳鼻咽喉科ではよく使用される。 歯科では歯科用ヨード・グリセリン(一般名であり商品名でもある。)が根管消毒(歯の神経を抜いた後の消毒)に利用される。(なお、複方ヨード・グリセリンと歯科用ヨード・グリセリンは類似した薬品であるが少し成分が異なっている。) ヨードチンキによって着いた色はヨウ素自身の色に由来することが多く、ヨウ素の蒸発につれて徐々に褪色する。急ぐ場合はハイポエタノールによって脱色する事ができる。
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