精力最善活用による猛獣への対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:24 UTC 版)
「柔道」の記事における「精力最善活用による猛獣への対応」の解説
昭和元年(1926)12月31日、講道館の創始者・嘉納治五郎は、永岡秀一(当時、八段)と横本伊勢吉(当時、五段)をともなって、文武の視察を目的として沖縄(琉球)へ向かうため神戸港を出港した。翌2年1月3日の到着以降、那覇の「尚武館」における柔道の紅白試合や昇段試合への立ち合い、形の演武を行い、また沖縄の名物のハブとマングースの戦いを熱心に観戦し柔道の真剣勝負における呼吸を学び参考になったことを語る嘉納を同行者の横本は記録している。また一行は、首里、名護で唐手(空手)の演武を見学している。6日の夜は地元の名士らとともに琉球料理に舌鼓をうったが、この席上、次のような質問が、嘉納に発せられた。「先生!柔道では猛獣におそわれた時に、どうしてこれに応ずべきですか?」嘉納は以下のような妙答によって切り返している。「猛獣にも色々ある。虎もあれば獅子もある。一概には言えないが、併し、日本では熊が一番多いから、それについて言って見よう。(中略)熊は人をこわがっている。(中略)火をつけたり、大きな音をさせたりしても、熊の方から逃げ去る。其他、様々熊に対する話を聞いて、のみこんでおく。そういう風にして、熊に対しては、実地肉体を接触させて勝負を決するよりも、先ず熊を近づかせない事が第一である。(中略)第一はあわぬように、あったにしても充分退治出来るように準備して、武器を用いるのが最善の方法である。何についてでも、いかなる場合でも、最も善く力を用いること、即ち精力最善活用、これが柔道である」
※この「精力最善活用による猛獣への対応」の解説は、「柔道」の解説の一部です。
「精力最善活用による猛獣への対応」を含む「柔道」の記事については、「柔道」の概要を参照ください。
- 精力最善活用による猛獣への対応のページへのリンク