粗面小胞体の機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 15:26 UTC 版)
多くの細胞種では、粗面小胞体に結合したリボソームで合成されたタンパク質は外部へ輸送される。リボソームがアミノ酸をタンパク質の単位へ組み立て、タンパク質は粗面小胞体へ送られてさらなる調整がなされる。これらのタンパク質は小胞体膜へ埋め込まれる膜タンパク質か、膜を通過して内腔へ入ることのできる水溶性タンパク質のどちらかである。小胞体の内側に到達したタンパク質は、そこで正しい立体構造へ折りたたまれる。小胞体は炭水化物や糖などの化学物質を付加し、完成したタンパク質 (分泌タンパク質と呼ばれる) はそれらが必要とされる細胞領域へ輸送されるか、さらなる加工と修飾のためにゴルジ装置へ送られる。 分泌タンパク質が形成されると、小胞体膜はそれらと小胞体に残るタンパク質を分離する。分泌タンパク質は、移行型小胞体から泡のように出芽する小胞の膜に包まれ、小胞体から離れる。細胞の異なる部分へ移動するこれらの小胞は、輸送小胞と呼ばれる。脂質やタンパク質が小胞体から輸送される他のメカニズムとしては、膜接触部位(英語版) (membrane contact site) と呼ばれる、小胞体が細胞膜やゴルジ装置、リソソームなどの他の細胞小器官の膜と近接して安定に結合している領域において、脂質輸送タンパク質によって行われるものがある。 分泌タンパク質を作ることに加えて、粗面小胞体はタンパク質とリン脂質の付加していくことで、成長する膜をその場で作り上げる。リボソームから伸長してきた、膜タンパク質となるべきポリペプチドは小胞体の膜へ挿入され、その疎水的な部分によってその場に保たれる。また、粗面小胞体は自身の膜のリン脂質の合成を行い、小胞体膜に組み込まれた酵素によってリン脂質が組み立てられる。これによって小胞体膜は拡大し、輸送小胞によって細胞内膜系の他の構成要素へ転移する。
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