管制業務の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 05:42 UTC 版)
東京国際空港(羽田空港)から大阪国際空港(伊丹空港)までのIFR(計器飛行方式)による飛行を例にとると、出発から到着までの管制業務の流れは概ね次のようになる: 航空機はあらかじめ管制機関に、呼出符号・航空機の型式・予定経路・予定高度などを記載した飛行計画を提出する。 原則として移動開始の5分前に航空機が東京飛行場管制所管制承認伝達席(TOKYO DELIVERY)と通信設定を行い、管制承認を要求する。 TOKYO DELIVERYの管制官は副管制席の管制官に航空機から管制承認の要求があった旨を告げる。 副管制席の管制官は当該飛行を管轄する東京管制区管制所(TOKYO CONTROL)の地区(セクター)席の管制官に管制承認の要求をする。 地区(セクター)席の管制官は自管轄空域の交通流を検討しながら東京飛行場管制所からの要求に対して管制承認を発出する。 TOKYO DELIVERYは東京管制区管制所から受領した管制承認を航空機に伝達し、飛行場管制所地上管制席(TOKYO GROUND)に業務を移管する。 TOKYO GROUNDは地上の交通流を考慮して、滑走路手前までの走行経路を指示する。 航空機は飛行場管制席(TOKYO TOWER)と通信設定を行う。飛行場管制席の管制官は滑走路の交通を考慮して離陸許可を発出する。 離陸後、航空機は東京ターミナル管制所出域管制席(TOKYO DEPARTURE)と通信設定を行う。TOKYO DEPARTUREはレーダー画面上で航空機のターゲットを識別する。識別後、当該機に対するレーダー管制業務が開始される。 TOKYO DEPARTUREから東京管制区管制所(TOKYO CONTROL)に業務が移管され、航空機はTOKYO CONTROLと通信設定を行う。 TOKYO CONTROL内ではいくつかの管轄空域(セクター)を飛行し、航空路管制業務が行われ、必要に応じてレーダー誘導並びに高度変更等や降下の指示が発出される。 TOKYO CONTROLから関西ターミナル管制所入域管制席(KANSAI APPROACH)に業務が移管され、航空機はKANSAI APPROACHと通信設定を行う。 KANSAI APPROACHは他の大阪国際空港到着便を考慮しつつ到着順位の決定を行い、必要なレーダー誘導や降下の指示や速度の調整を行い、大阪国際空港への進入許可を発出し、大阪飛行場管制所(OSAKA TOWER)に業務を移管する。航空機はOSAKA TOWERと通信設定を行う。 OSAKA TOWERの管制官は滑走路上に航空機がいないことを確認した(滑走路上の管制間隔を設定)後に着陸許可を発出する。着陸後、大阪飛行場管制所地上管制席(OSAKA GROUND)と通信設定を行う。 OSAKA GROUNDは駐機場(スポット)までの走行経路を指示する。エプロンに入るまでが管制業務の対象であり、エプロン以降は各運航者の所掌となる。
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