第1世代-個人の行動改善
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 04:22 UTC 版)
「クルー・リソース・マネジメント」の記事における「第1世代-個人の行動改善」の解説
173便の事故を経験していたアメリカのユナイテッド航空は、このワークショプを受けて本格的なCRM訓練プログラムをいち早く開発し、1981年から実際に導入した。続いて、ノースウエスト航空、トランス・ワールド航空、デルタ航空や、ヨーロッパではテネリフェ空港事故を経験したKLMオランダ航空が、オーストラリアではアンセット航空が早くからCRM訓練を導入した。 ユナイテッド航空が開発したプログラムは、「コマンド・リーダーシップ・リソース・マネジメント」(Command, Leadership, and Resource Management; CLR) と名付けられ、マネジリアル・グリッド論(英語版)と呼ばれるリーダーシップ行動論のトレーニングと似た、集中的な座学と自己のマネジメントスタイルの分析を含むものであった。 第1世代のCRM訓練は、下位の者のアサーティブネスの欠如や機長の権威主義的振る舞いといった行動の欠点を改め、個人の行動様式を変化させることに重点が置かれた。当時はまだ構成やコンセプトが確立しておらず、CRMの必要性を認識させたり、CRMに取り組む姿勢を強調したりする内容で、コックピット内での適切な行動を具体的に示すわけではなく、一般的な対人行動を対象とした。演習内容にはフライトシミュレータ訓練も含まれたが、CRMの概念を実演するために航空と無関係なゲームや心理テストも多かった。一方で既にこの段階で、CRM訓練は、定期的に繰り返し受けるべきものという認識もなされるようになった。 CRM訓練は総論としては受け入れられたものの、パイロットの中には、CRM訓練を人格矯正の試みと捉えて抵抗したり、「チャームスクール」(女性にエチケットやマナーを教える学校のこと)と揶揄する者もいた。
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