第八の警察隊長の語った物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「第八の警察隊長の語った物語」の解説
第八の警察隊長ニザム・アル・ディーンは次のように語った。 昔、ある笛吹き男の妻が男の子を出産したが、笛吹き男には金がなかったので外を歩いていると、雌鶏を見つけた。雌鶏が卵を産んだので市場で売ると、あるユダヤ人が卵1個を20ディナールもの大金で買ってくれた。笛吹き男はその金で産婆への支払いをし、妻に栄養のある食べ物を買い与えた。そのユダヤ人は毎日卵を1個20ディナールで買い続けたので笛吹きは大金持ちになった。何年かして、子が大きくなったある日、笛吹き男は一人メッカへ巡礼の旅に出かけたが、その留守にユダヤ人が雌鶏を売ってくれと笛吹き男の妻に言ってきた。妻は鞄一杯の金貨と引き換えに雌鶏を売り、ユダヤ人に言われたようにその雌鶏を料理したが、子が肉を一切れ食べてしまった。ユダヤ人は怒り、子を殺そうとしたので、子は逃げるため旅に出た。子はユダヤ人に追いつかれるが、雌鶏の肉の魔力で怪力になっており、ユダヤ人を返り討ちにして殺した。 子は旅を続け、ある王宮に着いた。その王宮では、姫とレスリングをして勝てば姫と結婚できるが、負ければ死刑になるということであった。子は姫に挑戦するが、姫も怪力で勝負はつかず、翌日再試合となった。御典医たちは子を麻酔で眠らせて体の秘密を調べ、胃を切り開き胃の中から雌鶏の肉片を取り出し、切り口を元に戻した。子は怪力を失い、再試合をせずに王宮を逃げ出した。 するとあるところで、3人の少年が絨毯を取り合っていた。それは魔法の絨毯で、中央を棒で叩くと空を飛び、どこでも行けるというものであった。子は少年たちを仲裁し、子が投げる石を最初に拾ってきた者が絨毯を取るとして争いをやめさせ、石を投げたが、少年たちが石を拾いに行っている間に絨毯に乗って飛び去り、姫の王宮に戻った。子は再び姫にレスリングを挑み、絨毯の上で試合を始め、姫が絨毯の上に乗ると、絨毯を飛ばし、遥か離れたカーフ山の山頂で絨毯を下した。姫は王宮を離れたことを悲しみ、子に負けを認めるが、子のすきを見て絨毯から子をはじき出し、絨毯を飛ばして一人王宮に帰った。 山頂に一人置き去りにされた子は、なんとか山を下りると、ナツメヤシの木を見つけた。黄色い実を食べると頭から蔓が伸び、木に絡みつき動けなくなってしまった。赤い実を食べると蔓は取れた。子は実を集めて、姫の王宮まで旅をし、ナツメヤシ売りに変装して、姫の御殿の近くで売り口上を述べた。姫は侍女にナツメヤシの実を買いに行かせ、子は黄色い実を売った。姫が実を食べると、頭から蔓が伸び姫が動けなくなってしまった。王様は、姫を助けた者は姫と結婚できるとし、子は赤い実を食べさせ姫を助け、姫と結婚し、幸せに暮らした。
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