第三者貯玉保証管理制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/02 14:41 UTC 版)
貯玉は通常各パチンコ店が独自に管理・運営を行っているため、かつてはそのパチンコ店が万が一閉店・倒産してしまった場合、それまでその店に貯められていた貯玉は全て無効となってしまっていた。また貯玉の管理体制が十分に整えられていない店の場合、貯玉に関するデータが抹消、あるいは改竄(かいざん)されるといった問題が起きる可能性もある(風俗営業法第23条第1項によってカードに玉数を記載することを禁止していることは、客が貯玉している玉数を把握することをより困難な状況にしている)。いずれの場合も、その店で貯玉を利用していた客は大きな損害を被ることになる。実際1990年代前半までは、パチンコ店の閉店に伴い貯玉が無効となった客が、パチンコ店の運営会社を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こす例も見られた。 このため、1993年にはパチンコ業界や警察等が中心となって、パチンコ店の倒産等の場合に客の貯玉分の金額を保証する制度として第三者貯玉保証管理制度が発足した。1998年には任意団体として「貯玉保証基金」が設立され、同制度に加盟するパチンコ店が倒産した場合の利用客への補償等を行う仕組みが誕生。さらに同基金は2007年6月に「有限責任中間法人貯玉補償基金」(現在は一般社団法人に改組)として正式に法人化されている。なお法人化に伴い、各店舗ごとの補償金額に上限(貯玉・貯メダルそれぞれ100万円相当まで)が設けられるなどの制限もつけられている。 またデータの改竄等を防ぐ観点からデータ管理の第三者への委託も推進され、2012年10月現在は「第三者貯玉保証管理センタ」として、以下の6社が管理受託業務を行っている。 ジャパンネットワークシステム(J-NET、NTTデータ系) マーストーケンソリューション(MTS、マースエンジニアリングの子会社) グローリーナスカ(グローリーの関連会社) ダイコク電機 大都販売(大都技研の親会社) オーアイデータシステム(オーイズミの子会社) 貯玉補償基金(統合前のマース貯玉補償基金も含む)に加盟するパチンコ店は、2008年8月時点では2,522店と全国のパチンコ店(2007年現在13,585店)の2割程度だったが、2010年8月末現在では3,844店にまで伸びている。ただそれでも貯玉システム導入店の基金への加盟率は6割程度にとどまっており、閉店・倒産時に貯玉が無効となり客が損害を被るリスクを抱えている店舗は依然少なくない。過去には基金未加入店舗の貯玉につき基金が補償を行った例も存在するが、基金側では「あくまで特例措置である」としている。また、店が貯玉補償基金に加盟していても、特殊景品との交換は一切できないので注意が必要である。
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