第一次世界大戦、そして自殺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/29 05:23 UTC 版)
「ゲオルク・トラークル」の記事における「第一次世界大戦、そして自殺」の解説
どこにも救いのない現実から逃れるため第一次世界大戦の開始と同時に志願して再入隊、ガリツィア(今日のウクライナとポーランドの一部)で薬剤士官候補(衛生兵見習い)として従軍する。 そこでロシア軍との戦闘により負傷した100人近い兵士を薬もないまま看護する任務につくが、室内では重傷を負い苦悶の呻き声を上げる血まみれの友軍兵士、室外ではスパイ容疑で絞首刑となって木々に吊るされた敵軍兵士、といった惨状を直視できずにピストルによる自殺未遂をおこす。 幸か不幸か同僚に助けられて一命をとりとめるが、拘束されてクラクフの精神病棟へ強制入院させられ鬱病が悪化、助けを求める手紙をフィッカーに書き送る。この手紙の中で「一言でいいから便りがほしい」というトラークルの気落ちした言葉を見て、フィッカーは自分が送っていたはずの手紙が前線へは届いていないということを知り、あわててトラークルを励ましにクラクフへ向かう。 精神病棟で憔悴するトラークルの危機を見て取ったフィッカーは、ウィトゲンシュタイン(偶然にも当時トラークルと同じクラクフ地方にやはり志願入隊していた)にトラークルを励ましてやってはくれまいかと手紙で頼むが、不運なことにウィトゲンシュタインはそのとき別の任務でクラクフを離れていた。 帰着後、トラークル本人からも「ぜひお会いしたい」という手紙を受け取ったウィトゲンシュタインは、自身も孤独と憂鬱に悩まされていたこともあり、あの天才詩人と親しく話せる仲になれればなんと幸せなことかと喜び勇んで病院へ見舞いに向かったが、到着したのはトラークルがコカインの過剰摂取により自殺した3日後のことであった。
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