第一原理計算の現状とは? わかりやすく解説

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第一原理計算(バンド計算に関して)の現状

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/03 22:28 UTC 版)

第一原理計算」の記事における「第一原理計算バンド計算に関して)の現状」の解説

いわゆる第一原理による電子状態計算手法によって扱える原子の数は2003年現在でも1001000程度までであり、アボガドロ定数遠く及ばない1000原子オーダーでようやく最も簡単な構造たんぱく質或いはアミノ酸)が扱えるかもしれないというレベルである。 実際に計算で扱う時間の問題存在する第一原理分子動力学法扱える時間は、最大でも数ピコから数十ピコ秒程度分子動力学しか扱えない。実時間での1秒間実際に計算の上再現させることは現実問題として不可能に近い。更に、電子状態を解くために用い近似手法密度汎関数法、局所密度近似一電子近似断熱近似等)は、現実化学反応正確に記述できているとは言い難くましてや生体内代謝反応DNAの複製過程植物の光合成のような大規模複雑な反応第一原理計算だけで再現することは著しく困難と言わざるを得ない。 そのため、こうした困難を乗り越えるための努力が行われている。オーダーN法や、ハイブリッド法は、1000原子より一桁上大きなサイズの系を扱えるようにすることを目標としており、それを可能としつつある。ただ、方法論として未だ発展途上で、精度に関して十分な検証が必要である。一方現実化学反応等をより精度良く記述するために、断熱近似越えるような試み局所密度近似を越える試みなどがなされている。光化学反応などでは、電子励起状態関与するこうした現象密度汎関数法の枠内取り扱うため、時間依存含めた形式TDDFT)も展開されている。

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