税務会計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/02 01:08 UTC 版)
2006年3月31日まで法人が自己の株式を取得した場合は、資産として計上されていた(資産説。購入手数料も資産計上に含める)。取得に伴う交付金銭等が、当該法人の取得直前の資本等の金額を超える場合は、その超える部分の金額は、自己株式を譲渡した株主にみなし配当が生じることとされており、自己の株式を取得した法人は、その超える部分の金額を利益積立金から減算していた。これは、株主が払込んだ分だけの資本金の払戻しに加え、当該法人が得た利益の積立てが株主に還元されるという考え方に依るもので、税務会計上の基本となっている。自己の株式の取得は、自己の株式の取得という資産の取得と、一部利益積立金の払戻しという資本取引の混合処理が採用され、税務上、自己株式の簿価が計上されていた。また、取得事由により次のとおり処理がなされた。 (1)原則(相対取引)法人が自己の株式を取得した場合、株主に交付した金銭等の額が当該株式に対応する取得時の資本等の額を超える場合には、その超える金額を利益積立金から控除する。 (2)例外(市場買付、公開買付)上場会社等が市場買付・公開買付の方法によって自己の株式を取得した場合については、株主に交付した金銭等の額が当該株式に対応する取得時の資本等の額を超えても、その超える額は利益積立金から控除しない。 2006年4月1日以降法人が自己の株式を取得した場合は、資本金等の額、利益積立金額を減少させることとなった(資本控除説)。つまり、法人税法上でも有価証券の定義から自己株式が外された。2006年4月1日時点で自己株式を所有していた会社は、自己株式の税務上の簿価が資本金等と相殺され、ゼロとなる措置が講じられた。また、取得事由により次のとおり処理の変更がなされ、原則として資本金等を減額し、例外的に資本金等と利益積立金を合わせて減額することとされた。 (1)証券取引所での買付け (2)店頭売買登録銘柄の店頭売買での買付け (3)事業の全部譲受 (4)合併に対する反対株主買取請求権の行使に基づく買取り (5)単元未満株式買取請求または端株買取請求に基づく買取り 借方金額貸方金額資本金等 100 現金 100 (6)剰余金配当(利益配当・剰余金分配を含む)、解散による残余財産分配または合併に伴う合併法人からの交付 借方金額貸方金額資本金等 100 受取配当金 100 (7)合併・会社分割・現物出資による被合併法人・分割法人・現物出資法人からの移転 (8)組織再編に伴う抱合株式の発生 借方金額貸方金額資本金等 150 資本金等 100 利益積立金 50 (9)上記(1)~(8)以外の事由による取得 借方金額貸方金額資本金等 100 現金 150 利益積立金 50
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