私署証書・私文書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 07:55 UTC 版)
公文書以外の文書を私文書(しぶんしょ)といい、そのうち、作成者が署名又は記名押印をしたものが私署証書(ししょしょうしょ)である。 私署証書は、公正証書のように直ちに債務名義となることはなく、私署証書である契約書に基づいて相手方に金銭の支払いなどを強制したい場合は、その契約書を証拠として裁判所に訴えを起こし、支払いを命じる確定判決を勝ち取るなど債務名義を得たうえでなければ、強制執行の手続に入ることはできない。 民事訴訟において、文書は、原則としてその成立が真正であることを証明しなければならないが、私文書は、作成者本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定すると規定されている(民事訴訟法228条4項)。また、判例上文書に押された印影が本人(又は代理人)の印章によるものであるときは、反証のない限り、本人の意思に基づいて顕出されたものと事実上推定される。したがって、例えば、契約書に契約当事者とされている人物の実印が押してあり、その印鑑登録証明書が添付されている場合、その押印は本人の意思によるものと推定され、次に本人の押印があることによって文書が真正に成立した(偽造ではない)ものと推定されることになる(二段の推定)。 なお、文書は、真正に成立したと認められてはじめてその記載内容の信憑性(実質的証拠力)も判断されるが、これについては裁判官の自由な心証に委ねられる。 「書証」も参照
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