破壊とは? わかりやすく解説

破壊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/11 05:16 UTC 版)

アルミ製の自転車ハンドルの破断面
高電圧印加により絶縁破壊を起こしたアクリル樹脂

破壊(はかい)とは、物に何らかの力や影響が加わることにより、その物の形状・機能・性質などが失われること。また、それを引き起こす行為のこと。

対義語は「製造」や「再生」、「修復」など。

似た言葉「破損」

概要

固体材料においては、その材料の強度を上回る外力が加わったときにその材料が2つまたはそれ以上の部分に分離することを破壊: fracture)と呼ぶ[1]。材料の破壊を研究する工学の分野として破壊力学材料強度学がある。

破壊に寄与する外力が人為的に加えられる場合と老朽化や素材の特性による自発的な場合が考えられるが、特に構造物に対しては、自然発生的に構造物がその形状を維持できなくなる現象には崩壊、意図的な破壊には解体と呼び分けることもある。破壊された物に関しては役目を果たせないことから廃棄される場合が多い。逆に不要な物を廃棄する際に処理しやすいよう、小さく分割することを目的として破壊(解体)する場合もある。

また、材料や電気回路に一定以上の電流電圧を加えたときに材料や回路の特性が損なわれる現象も破壊と呼ばれる。一例として、導体間を隔離している絶縁体を通して放電がおこり絶縁性が永久に失われる現象は特に絶縁破壊と呼ばれる。

コンピュータウイルスなどによるコンピュータ上のデータの書き換えや抹消など、物質的な実体を伴わない場合でも破壊と呼ばれる[2]

地球の自然環境を自然浄化のサイクルを遥かに超える勢いで変化させたり、生物にとって必要な条件を奪う、もしくは生物にとって有害な条件を与えるなどして大きく変化させる行為を自然破壊あるいは環境破壊と呼び、公害や生物の絶滅、奇形生物の誕生などをもたらす。

材料破壊の力学と類型

図1: ぜい性材料の応力ひずみ線図。材料は点2において急激な脆性破壊を起こす。
図2: 延性材料の応力ひずみ線図。材料は大きく変形してから(領域4, 5)、破断する(点3)。この過程を延性破壊と呼ぶ。

固体材料の破壊は大きく脆性破壊(脆性破壊、: brittle fracture)と延性破壊: ductile fracture)に分けられる。

脆性破壊は鋳鉄ガラスコンクリート岩石金属間化合物セラミックスなどに生じるもので、荷重あるいは応力を増やしてくとほぼ弾性状態(応力σとひずみεの線形性[注釈 1])を保ったまま破壊(図1, 点2)に至るケースである。破壊に至るときの応力をぜい性破壊強度(図1, 点1)と呼ぶ。実際には完全な弾性状態からは多少外れて若干の塑性変形を伴うことがある[1]

一方、延性破壊は金属材料の多くに見られるものである。小さい応力の限りでは延性材料は弾性を示すが、降伏点(図2, 点2)を上回ると材料にはまず大きな塑性変形(図2, 領域4)が見られるようになる。この間材料内の各所で小さな亀裂が発生し、それが進展して最終的に図2, 点3の破断: rupture)に至る。延性破壊というときは亀裂発生から破断に至るまでの一連の過程を含めて称することが多い[1]

このほか、材料の降伏点より少し小さい応力であっても、わずかな塑性変形を繰り返すことによって材料内に微視的な亀裂を多数生じ、それが進展して破壊に至る疲労破壊: fatigue fracture)や[1]、持続応力の作用により時間の経過とともにひずみが増大して破壊に至るクリープ破壊がある。

材料の破壊を調べる時、しばしば数値解析によるシミュレーションが用いられ、その手法はフックの法則などの各種基本式をどのように解くかで大きく2つに分けられる。1つはリメッシュやX-FEMで、破壊面を表現するため新しく節点を増やすなど、行列の次元を変化させる手法。もう一つは個別要素法など、剛体ブロックとばねで固体を表現し、破壊時にはそのばねを切るという、剛性マトリクスそのものを変化させることで破壊を表現する方法である。

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b c d 柴田俊忍; 大谷隆一; 駒井謙治郎; 井上達雄「11. 材料の強度評価」『材料力学の基礎』培風館、1991年。ISBN 4-563-03465-7 
  2. ^ 独立行政法人情報処理推進機構 セキュリティセンター(IPA/ISEC)『コンピュータウイルス対策基準』2012年3月16日

関連項目


破壊!

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/01 05:51 UTC 版)

破壊!
Busting
監督 ピーター・ハイアムズ
脚本 ピーター・ハイアムズ
製作 アーウィン・ウィンクラー
ロバート・チャートフ
出演者 エリオット・グールド
ロバート・ブレイク
音楽 ビリー・ゴールデンバーグ
撮影 アール・ラス
編集 ジェームス・ミッシェル
配給 ユナイテッド・アーティスツ
公開 1974年2月27日
1974年5月4日
上映時間 92分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
テンプレートを表示

破壊!』(Busting)は、1974年製作のアメリカ映画。二人の刑事が麻薬組織に挑むポリス・アクション。

ストーリー

ロサンゼルス市警の風紀課に勤める刑事、マイケルとパトリックは売春婦を摘発するという仕事に従事していた。ある日、二人はジャッキーという有名なコールガールを逮捕した。しかし、次の仕事を任されているうちに、ジャッキーに関する証拠がもみ消されていた。実は署長が彼女の顧客であったために都合よく放免されていたのである。そしてまたしても新しい仕事を任せられることになった。売春と麻薬を取り扱うポルノ・ショップの調査というもので、売春婦は逮捕できたものの麻薬は発見できなかった。二人は麻薬捜査の令状を取ろうとするも、許可されなかった。そこで勝手に深夜のポルノ・ショップへ忍び込み捜査をすることにした。結果、麻薬を発見し、その場にいた売人たちも逮捕したものの、応援で駆けつけた警官が間抜けだったために一人を取り逃がしてしまう。しかも上司から、署長は麻薬組織のボスであるリゾーとも癒着しており、これ以上事件に首を突っ込むなと逆に注意されてしまう。

その後、公衆便所に出没する変質者を捕まえるという不毛な仕事に回された二人は、自分たちの刑事生活を振り返った。当初は下らない仕事ばかりだったが、それは今も変わっていなかった。そうしている間にも、大悪党であるリゾーは気ままに生活をしていることに気付き、怒り心頭に発した二人はリゾーの元を訪れた。そして、自分たちは決して買収などされないということを告げる。しかし、リゾーに嫌がらせをしたために報復に遭ってしまった。上司にそのことが知れてしまったために、二人はコンビを解消される。それでも怒りと執念が尽きることはなく、週末を返上して嫌がらせを続けた。しばらくしてリゾーは病に倒れ、入院することになった。しかし彼の病院を張り込んだ二人は病気が口実であり、実際は病室で麻薬の取引をしていることに気付き、逃走するリゾーを捕まえて銃口を向けた。ところがリゾーは、何の証拠も残っていないのだから自分は逮捕されないと言い放ち、二人を嘲笑する。それを聞き、自分の無力と組織の腐敗に絶望したマイケルは、遂に転職することを決意するのだった。

キャスト

役名 俳優 日本語吹替
TBS
マイケル・キニーリー エリオット・グールド 伊武雅之
パトリック・ファレル ロバート・ブレイク 尾藤イサオ
カール・リッゾ アレン・ガーフィールド 勝田久
スティーブン アントニオ・ファーガス 富山敬
マーヴィン マイケル・ラーナー 平林尚三
ジャッキー コーネリア・シャープ 高畑淳子
ドリス エリン・オライリー 小宮和枝
不明
その他
増岡弘
加藤正之
宮村義人
大久保正信
広瀬正志
西村知道
小島敏彦
岸野一彦
日比野美佐子
高島雅羅
鈴木希久代
巴菁子
演出 佐藤敏夫
翻訳 佐藤一公
効果 遠藤堯雄
桜井俊哉
調整 前田仁信
制作 東北新社
解説 荻昌弘
初回放送 1978年6月12日
月曜ロードショー

※日本語吹替はBD・DVD収録。(約91分)

脚注

外部リンク





固有名詞の分類


品詞の分類

このページでは「ウィキペディア」から破壊を検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書から破壊を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書から破壊 を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「破壊」の関連用語

破壊のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



破壊のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの破壊 (改訂履歴)、破壊! (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS