着工・大量湧水の発生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/22 14:24 UTC 版)
「北薩トンネル」の記事における「着工・大量湧水の発生」の解説
北薩トンネルは出水市側の出水工区から2009年(平成21年)3月16日に着工し、さつま町側にあたるさつま工区は同年12月21日に着工した。両工区ともに新オーストリアトンネル工法(NATM)及び発破掘削工法により掘削が行われた。 北薩トンネルが貫通する出水山地の紫尾山は概ね出水市側に花崗岩、さつま町側に四万十層群が分布している構造となっている。出水側坑口から掘削を始め1,800 m - 1,900 mに到達後、花崗岩と四万十層群の境界附近において大規模な湧水が発生した。出水は300トン毎時に達し、出水工区全体では1,200トン毎時の大量湧水が発生した。これらの湧水からは高濃度のヒ素が検出され、湧水を河川に排出する際の基準を満たすための恒久的な対策として、湧水量を減少させる必要が発生した。鹿児島県はトンネルの貫通後に別途減水対策工を発注し、2016年(平成28年)10月31日までに減水対策工事が完了した。 減水対策工事は、ダムの建設などで主に用いられる「グラウチング工法」により施工された。グラウチング工法を掘削後に地山改良に用いた施工例は少なく、試験施工を重ねた結果、日鉄住金セメントが開発した極超微粒子セメントを注入することとなった。グラウチング工法による減水後に発生する湧水に対してのヒ素の除去対策のため、接触酸化・共沈処理法によるヒ素除去装置が出水側坑口に設置された。
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