病床過多
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 13:16 UTC 版)
病床と入院患者数の推移(各年6月末時点)全精神病床数入院患者数措置患者数措置率病床利用率2000年 358,597 333,328 3,247 1.00% 93.0% 2005年 354,313 324,851 2,276 0.70% 91.5% 2007年 351,762 317,139 1,849 0.60% 89.5% 2008年 350,353 314,251 1,803 0.57% 89.1% 2009年 348,129 321,681 1,741 0.56% 89.8% 2010年 347,281 311,007 1,695 0.55% 89.6% 2011年 345,024 306,064 ... ... 89.1% 日本の精神医療の問題点としては入院患者が減少しない、世界でも稀に見る程多くの精神科入院ベッド数(約35万床)、平均在院日数が300日以上と極めて長いこと(社会的入院をしている患者が約25万人)があり、中には精神科病院で30年間以上にも渡って長期入院生活を続けている患者も居る事が挙げられる。 入院患者が減らない原因として、日本の一般社会においては退院しても偏見が存在しているので、社会に戻す環境整備がなかなか行われない、精神科病院の9割を占める民間病院が、簡単に病床を減らせない(入院患者の減少は、病院経営の死活問題になる)事情がある。 先進国と比べても、日本の精神科の病床数は人口に対して世界で最も多く、入院期間も最も長い。先進諸外国が国公立の精神科病院を減らし、患者が地域で安心して暮らせるような制度を推進しているのに対し、日本の精神科医療はまだ入院という方法に頼っている。このような日本の現状に対して、1968年には世界保健機構(WHO)から、1985年には国際連合から、法制度を改善するように勧告を受けた。しかし未だ多くの精神科病院の体系は変わらず、多くの患者が入院生活を送っている。 「日本の精神保健#社会的入院」も参照 現在は地域移行特別対策事業が厚生労働省によって開始され、2012年までの数値目標が掲げられている。地域移行支援アシスタント(退院促進支援員より名称変更)による地域でのネットワーク作り、地域移行推進員などの活躍が期待されている。しかし開始間もないことや、名称変更と業務追加がされた後も目立って人員増加されていないこともあって、目覚しい効果は上がっていない。
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