病原性への効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 08:24 UTC 版)
ピオベルジンは、カエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)やハツカネズミなど多くの生物の火傷個体や肺炎個体などにおいて発病に要求される。緑膿菌Pseudomonas aeruginosaは他の生物への感染にピオベルジンを必要とする。 ピオベルジンはいくつかの発病要素に寄与する。それには、ピオベルジン自身、翻訳を停止させる外毒素A、およびタンパク質分解酵素のPrpLの生合成の制御も含む。必須ではないが、病原性に重要なバイオフィルムの形成と発展を助ける。 ヒトを含むある種の生物はシデロホア産生細菌の感染を防ぐために、neutrophil-gelatinase-associated lipocalin (NGAL)を産生する。NGALはシデロホアと結合して除去する。しかし、NGALはエンテロバクチンと結合するが、ピオベルジンには結合しない。こうして、ピオベルジンはNGALによる防御機構を回避する。 ピオベルジン自身も様々な形態の毒性を示す。シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)由来のピオベルジンは哺乳動物の白血球に対して毒性を持ち、この毒性は少なくとも部分的に活性酸素種に依存する。ピオベルジンはそれ単体でC. elegans を死滅させるのに十分な毒性を有する。C. elegansの細胞に侵入し、ミトコンドリア動態を不安定にし、低酸素症を誘発させる。ピオベルジンによる低酸素症に伴う応答は、HIF-1タンパク質による症状と一致している。このことから、アデノシン三リン酸の合成のための生体分子の不足が作用機序の一部であると考えられている。
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