病原性に対する考え方の変遷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/14 18:16 UTC 版)
「病原性」の記事における「病原性に対する考え方の変遷」の解説
ロベルト・コッホによる炭疽菌の発見とコッホの原則の提唱以降、数多くの病原細菌が分離された。これによって生物学(微生物学)と医学(感染症学)との接点が明確となり、感染症治療は大きな進歩を遂げた。しかしながら、この微生物学の黎明期においては、その当時特に重大な疾患として認知されていた重篤な感染症から病原体を分離することが優先されており、このため当時見つかった病原体の多くは、健常者に少数感染しても発病しうる、きわめてビルレンスの高いものであった。このことが、微を「病原性のもの」と「非病原性のもの」に分類する考えの下地となった。 しかしながら、その後の研究の進展によって、日和見感染に代表されるように、これまでヒトに病原性がないとされていた微生物によっても、免疫力の低下したヒトでは病気が起こりうるということが知られるようになり、発病するか否かは単に微生物の病原性にのみ依存するのではなく、宿主側との力のバランスによって決まるという考えが広まるようになった。このため病原性の有無だけでなく、ビルレンスの高低が疾患との関係から重視されている。
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