病原性を持つ系統
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/29 15:25 UTC 版)
「ファーミキューテス門」の記事における「病原性を持つ系統」の解説
ファーミキューテス門は、マウスとヒトの腸内細菌叢の大部分を占めている。腸内細菌叢の一部であるファーミキューテス門細菌は、エネルギー吸収に関与しており、糖尿病と肥満の発症に関連している可能性があることが示されている。健康なヒト成人の腸において、最も豊富な系統はFaecalibacterium prausnitziiであり、腸全体の細菌数の5%を構成している。この種は、肥満によって引き起こされる軽度の炎症の減少に直接関連している。F. prausnitziiは、非肥満の子供よりも肥満の子供の腸内で、より高いレベルで発見されている。 複数の研究で、痩せた対照よりも肥満の人に多くのファーミキューテス門細菌が見られた。肥満患者では、特にファーミキューテス門細菌の内でもLactobacillusの相対存在量が高いことが発見されている。減量食を摂取した肥満患者は腸内のFirmicutesの量が減少していることを示した研究例もある。 マウスの食餌の変化は、ファーミキューテス門細菌の数の変化を促進することが示されている。標準的な低脂肪/高多糖類食を与えられたマウスよりも、西洋型食餌(高脂肪/高糖)を与えられたマウスの方が、比較的豊富なFirmicutesが見られた。ファーミキューテス門細菌の量が多いことは、マウス内の脂肪過多と体重の増加にも関連していた。具体的には、肥満マウスでは、モリクテス綱(Mollicutes)が最も存在量が多かった。この肥満マウスの微生物叢を無菌マウスの腸に移植すると、ファーミキューテス門細菌の存在量が少ない痩せたマウスに微生物叢を移植したマウスと比較して、無菌マウスはかなりの量の脂肪を獲得した。 人間の糞便から分離されたクリステンセネラ属(Christensenell、クロストリジウム綱)の存在は、肥満度指数の低下と相関することがわかっている。
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