生殖と万能細胞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/03/10 12:33 UTC 版)
2011年8月、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発者である山中伸弥教授とは別の京都大学の研究グループが、iPS細胞を使って精子を作り出し、それを卵子と体外受精させてマウスを誕生させることに成功した。これにより、発生のメカニズムの解明や、不妊症の原因究明や治療への可能性ができたが、その一方で、ヒトの生殖細胞作製に繋がる技術であることから、生命倫理的問題が生じると考えられている。例えば、男性から卵子、女性から精子を作製することも可能なこの技術は、女性がいなくてもキメラ生物の子宮を借りることで子孫を残せたり、男性がいなくても子孫が残せることになり、同性配偶者の間の子の誕生が可能になるため、技術的適用範囲には十分な議論が必要となる。 しかし、性別に関係なく精子や卵子を作製したり、生殖能力を失った個体から精子や卵子も作れるiPS細胞のこのような特性は、医療以外の分野でも注目され、絶滅危惧種の人工的な繁殖に向けての検討がなされている。2011年9月には、米カリフォルニア州の研究グループにより、世界に7頭しか生息していないとされるキタシロサイのメスの皮膚、また、西アフリカで生息数の減少が続くサルの一種であるマンドリルの死んだオスの細胞から、iPS細胞の作製に成功した。
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