生まれた場所・系譜について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 01:01 UTC 版)
「キリストの降誕」の記事における「生まれた場所・系譜について」の解説
高等批評や自由主義神学の聖書学においては、ベツレヘムで生まれたという記述は、預言に適合させるために作られた伝説、神話であると考えられている。こうした立場からは、『ヨハネによる福音書』においては、イエスはガリラヤのナザレの出身であると記されており、『マルコによる福音書』『マタイ福音書』『ルカ福音書』のいずれにおいても、イエスがダビデ王の子孫であることは否定されているとされる。この立場において、イエスは誕生物語以外の場面では一貫して「ナザレ人」「ナザレ出身者」の術語が用いられており、これはすべての福音書において一致していることを以て、実際に生まれた場所はベツレヘムではなかったことの証左とされることがある。 その一方、伝統的な信仰を保持するカトリック教会、正教会、保守的な聖書信仰の立場などにあるプロテスタントなど、聖書の記述を真実ととらえる立場もある。前述の高等批評の立場では『マタイ福音書』はダビデ王の子孫であることは否定しているとするが、伝統的な信仰を保持する立場からは、まずマタイ福音書の冒頭(1章1節)にある「ダビデの子」という表現を根拠に、イエスをダビデの子孫とする。ヨハネス・クリュソストモス(金口イオアン)、ブルガリアのフェオフィラクトといった古代・中世の聖人達も、旧約における預言(イザヤ書11章ほか)との整合性をもってこれを強調してきた。なお「子」という表現は新約聖書において「養子」「子孫」の意味にも用いられており、必ずしも文字通りの血縁・親等を示すものではない(聖書中でイエスは通常の夫婦関係によらず、聖霊によってみごもったとされている)
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