環境汚染、埋め立てなど
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/16 00:26 UTC 版)
「シナウスイロイルカ」の記事における「環境汚染、埋め立てなど」の解説
香港近海はシナウスイロイルカにとっては危険な生息域になってきている。主な原因は、密漁、埋め立ての増加、海上交通の発達などである。 シナウスイロイルカはほぼ一定の海域を生息域とし、その生息域から離れることはほとんどないため、工業排水、農業排水、生活排水による香港近海の汚染の影響が深刻になってきている。珠江デルタでは、毎日19万m3の汚水が全く処理されることなく、そのまま海へ排出されている。未処理の汚水や化学物質は海全体の環境を悪化させ、シナウスイロイルカの生息環境も悪化させている。シナウスイロイルカの死骸からは水銀などの重金属、PCBやDDTなどの塩化有機物、トリブチルスズ (TBT)、合成保存料などが検出されており、食物連鎖の中にこれらの有害な物質が既に組み込まれていることが明らかになっている。 香港国際空港の建設によって、シナウスイロイルカの生息海域が9.5km2減少した。同空港には第三滑走路の建設計画があり、更に影響を与えることが危惧されている。他にも、北大嶼山公路(英語版)、屯門と青山火力発電所(英語版)を繋ぐ香港内河碼頭(River Trade Terminal)、香港ディズニーランドといった開発に伴う大規模な埋め立てが実施あるいは予定されており、シナウスイロイルカの生息域に壊滅的な打撃を与える恐れがある。さらに索罟群島においてはLNGターミナルの建設の動きもあり、潜在的な脅威となっている。 ランタオ島北部の海域における魚の乱獲や多数の船舶の航行もシナウスイロイルカへの脅威となり得る。香港政府による商業的な漁業に対する規制はほとんどないため、魚の乱獲は混獲によるシナウスイロイルカの被害を増大させる可能性がある。1日あたり平均70艘の船舶が香港海峡を通過する。多数の船舶が発生するエンジンの雑音は、シナウスイロイルカが行う反響定位の妨げとなって悪影響を与える恐れもある。
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