特許の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/10/23 02:07 UTC 版)
「ジョセフ・アスプディン」の記事における「特許の影響」の解説
アスプディンは硬化した後の様子が「良質のポルトランド石」に似ていることから、これをポルトランドセメントと名付けた。ポルトランド石は当時イギリスでは、最高の建築用石材とされていた。特許が示している製品は、今日ポルトランドセメントと呼ばれているものとは明らかに異なり、素早く固まるが強度は低い。当時は漆喰の代わりや型で形成する建材として重宝された。低温(1250℃以下)で発火する性質があり、エーライトを含んでいない。 この製品は「人工セメント」に分類され、ジェームズ・パーカーのローマンセメントに対抗すべく開発された。アスプディンに先駆けて James Frost が似たようなセメントを開発している。石灰岩を焼き、それを砕いて粘土と混ぜ、再度焼くことで完成する。硬い石灰岩をそのまま粉砕することは当時の技術では難しかったため、焼いてから砕くのが一般的だった。 彼が使った石灰岩はその地方で産出する石炭紀後期のもので、道路の舗装に用いられていた。彼の特許では原料採取方法として「道路上のゴミ」を集めるとしていた(後の石灰精製法も同じ)。道路から石灰岩を集められない場合のみ石灰岩の塊を使うとしていた。アスプディンは実際、近所の道路で数ブロックに渡って舗装を掘り起こしたとして2回起訴されたことがある。当時、まだ鉄道が発達していなかったため、アスプディンにとって石灰岩の確保は頭の痛い問題だった。この問題は後に息子ウィリアムとの衝突の原因の1つにもなっている。ウィリアムが行った改良は、石灰岩をより多く使い、燃料も多く使って温度を高くし、それまで捨てていたクリンカーを粉砕するというものだった。ウィリアムはその後ケントに移り、豊富な柔らかいチョークが入手可能な場所で現代的なポルトランドセメントの製造会社を立ち上げた。
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