物理的結果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 18:54 UTC 版)
「一般相対性理論の概説」の記事における「物理的結果」の解説
1907年の段階ではアインシュタインは一般相対性理論の完成まで8年を残していたが、新たな理論を発展するための出発点である等価原理に基づいた新しい検証可能な予測を多く行うことができた。 最初の新たな効果は、光の重力周波数シフトである。加速するロケット船に乗っている2人の観測者を想定する。このような船に乗ると「上」と「下」という自然な概念がある。船が加速する方向は「上」であり、くっついていない物体は反対方向に加速し「下向き」に落ちる。観測者の1人がもう1人よりも「高い」と仮定する。低いところの観測者が高いところの観測者へ光信号を送信すると特殊相対性理論から計算されるように、加速度により光が赤方偏移し、2番目の観測者は最初の観測者よりも低い周波数の光を測定する。逆に、高い観測者から低い観測者に送られる光は青方偏移、つまり高い周波数にシフトする。アインシュタインは、このような周波数シフトは重力場でも観測される必要があると主張した。これは左図に示されている。これは、重力加速度に逆らって上方向に進むにつれて徐々に赤方偏移する光波を示している。以下に説明するようにこの効果は実験的に確認されている。 この重力による周波数シフトは重力による時間の遅れに対応する。「高い」観測者は「低い」観測者よりも低い周波数を持つように同じ光波を測定するため、高い観測者に対しては時間が早く経過しなければならない。したがって、重力場において低い観測者の時間は遅く過ぎていく。 各々の観測者について、自身の基準系内で静止している事象もしくは過程に対する時間の流れに観測可能な変化がないことを強調することは重要である。各観測者の時計で計時される5分卵(five-minute-eggs)は 同じ一貫性を持つ。各時計で1年がたつと各観測者はその分老ける、つまり、各時計はその近くで発生する全ての過程と完全な一致を見る。別の観測者間で時計が比較されるときのみ、高い観測者よりも低い観測者の方が時間の進みが遅いことに気づくことができる。この効果は微小であるが、以下で記述されるように複数の実験で実験的に確認されている。 アインシュタインは同様の方法で重力による光のゆがみを予測した。重力場においては、光は下向きにゆがむ。定量的には、彼の結果は2分の1であった。正しい導出には等価原理だけでなく一般相対性理論のより完全な定式化を要する。
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