熟語本位斎藤英和中辞典(Saito's Idiomological English-Japanese Dictionary)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 21:29 UTC 版)
「斎藤秀三郎」の記事における「熟語本位斎藤英和中辞典(Saito's Idiomological English-Japanese Dictionary)」の解説
斎藤は「辞書は自らの研究の集大成であり、最後に取り組むべきもの」と考えていたが、興文社との絶縁による財政的窮乏を補うため執筆した。それが熟語本位斎藤英和中辞典である。この辞書は斎藤単独の執筆であり、斎藤英文法の集大成の一つと理解されている。 この辞書の特徴は、 語法説明が詳細であり、その内容が適切であること(機能語に多くのスペースを割いていること)、 訳語がこなれており、適切な日本語訳が与えられていること、にある。 1. の特徴は、斎藤の主唱するidiomology(慣用語法学)の成果の現れであり、「語と語の関係の中に語の意味がある」という斎藤の考えの現れである。このため、この辞書では、機能語の機能に詳しい。2. の特徴もまた、日英のイディオム比較検討し、英語のイディオムに適切な日本語を与えるというidiomology研究成果の現れである。 これらの特徴は、この辞書に他の辞書にない個性を与えており、このことは同時期に出版された井上十吉等のベストセラー辞書が現在では省みられることがないのに対し、この辞書が現在に至るまで命脈を保ち、英語研究者に求められている、ということの理由の一つである なお本辞書も、当時出版された英和辞典の例に漏れず、当時出版されたConcise Oxford Dictionary(COD)の影響を受けており、実際、斎藤の蔵書の中に、丹念に検討を加えた痕跡のあるCODがある。ただ、このことは斎藤のこの辞書がCODを範にし、CODを模倣したということを意味しない。むしろ、斎藤はCODを検討することで、自らの辞書のあり方にたいする自信を深めた、というのが正しい理解であろう。 現在は校訂によって2016年に再版された際『熟語本位 英和中辞典 新版』と書名を変えた。アマチュアの学習者からプロの翻訳家にまで幅広く売れ続けている。
※この「熟語本位斎藤英和中辞典(Saito's Idiomological English-Japanese Dictionary)」の解説は、「斎藤秀三郎」の解説の一部です。
「熟語本位斎藤英和中辞典(Saito's Idiomological English-Japanese Dictionary)」を含む「斎藤秀三郎」の記事については、「斎藤秀三郎」の概要を参照ください。
- 熟語本位斎藤英和中辞典のページへのリンク