火災後の調査と教訓
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/27 14:36 UTC 版)
「プリアムーリエ号火災事故」の記事における「火災後の調査と教訓」の解説
船には全般に消火器と消火栓が装備されており、また機械室や燃料タンク室などには炭酸ガス消火設備や泡消火設備などが装備されていた。熱感知器も各所に取り付けられ、押ボタン式の火災報知器や船内一斉放送設備も備えられていた。熱に感知して閉鎖する防火扉や誘導灯なども装備されていた。消火設備はホースを繰り出して使用した形跡があったが、効果的な使用ではなかった。自動火災報知機は正しく作動しており、防火扉も閉鎖された場所では延焼防止の効果を発揮していたとされた。ただし、上層階への主な延焼経路となったA階段では、自動閉鎖式防火扉が設けられていて実際に作動していたものの、作動用温度ヒューズの取り付け位置の問題で作動が遅れたものとみられ、さらに障害物により完全閉鎖できなかったとされた。 火元とされた346号室付近の調査では、舷窓付近から出火したものと推定された。火種となりうるのは湯沸かし用投げ込みヒーターと喫煙関連器具であった。乗客の証言では、1時10分頃に自室に戻った際には特に異常がなくそのまま就寝したとされ、就寝前の何らかの行為で出火に結び付いた可能性があるとされたが、特定できなかった。ここから防炎処理されていなかったカーテンやベニヤ板製の間仕切壁などに燃え広がって急速に火災が拡大した。こうした設備類が易燃性であったことが火災拡大要因であったとされ、船内内装には防火性能を有する物品の使用が必要であるとされた。 プリアムーリエ号の乗員による消火活動は実施されていたようであったが、日本側当局への通報は遅く、国際VHF無線、汽笛、岸壁電話のいずれも使用されておらず、日本側が認知したのは火災発生から40分近く経っていた。初期消火の遅れと不備、通報の遅れは、この火災の被害が拡大した最大の原因であるとされた。
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