熱感知器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/27 06:08 UTC 版)
火災の熱を検知するもの。 定温式スポット型感知器 一定の温度以上になると発報する。バイメタルが熱で湾曲する特性を利用して機械的に電気接点を閉じることにより発報するバイメタル式が旧来から一般的であるが、高膨張金属の外筒が内部接点を押す方式や、サーミスタを温度検出素子として使用した熱半導体式もある。 差動式スポット型感知器 短時間に温度が変化した場合に発報する。内部の空気室に閉じ込められた空気が熱で急激に膨張することによりダイアフラム(隔膜)が押し上げられ、機械的に電気接点が閉じ、発報するダイアフラム式が一般的。ゆるやかな温度上昇では発報しないよう、空気室から空気を逃がす「リーク孔」と呼ばれる小さな穴が設けられている。定温式同様、サーミスタを使用した熱半導体式、「ゼーベック効果」を利用した熱電対式もある。 差動式分布型感知器 短時間に温度が変化した場合に発報する。感知器本体からループ状に空気管を張り巡らせ、熱によって空気管内の空気が膨張することにより火災を検知するもので、天井が高く面積の広い場所に使用される。空気管の代わりに熱電対や熱半導体素子のいずれかを使用した方式もあり、前者は熱電対式、後者は熱半導体式と呼ばれている。なお、空気管を使用したものは空気管式と呼ばれている。 定温式スポット型感知器および差動式スポット型感知器についてはサーミスタを使用した熱半導体式、差動式スポット型感知器の熱電対式タイプも普及が進んでいる。サーミスタは温度変化に応じて電気抵抗が変化する半導体であり、それにより測定した温度変化を電子回路で解析し、定温式または差動式の動作をさせることができる。環境に影響されにくい安定した性能が特徴である。また、バイメタル式、ダイヤフラム式の熱感知器は発報を示す表示灯が熱を感知している間しか点灯しないのに対し、サーミスタを使用した場合は受信機側で復旧をかけるまで自己保持させることが可能であり、発報した感知器が特定しやすいため、非火災報発生時の対処がより適切に行える。
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