潜在的市場または価値に対する影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 01:55 UTC 版)
「フィールド対Google事件」の記事における「潜在的市場または価値に対する影響」の解説
第4番目の因子は被告の原告著作物の利用によりその潜在的市場へ与えた影響を検討するものである。ソニー事件は「著作物の利用によるその潜在的市場またはその価値への影響が立証されない場合は、著作者の創作のインセンティヴ保護を目的とした利用禁止措置は必要ない。」と判示する。 本件では、原告の著作物に対する何らかの市場が存在するとの証拠は一切見当たらない。原告は著作物全てを無償で公衆に利用可能な状態にしており、かつ、著作物の売却または許諾契約締結によるいかなる対価も受領していないことを認めている。なおかつ原告のウェブサイトのウェブページのためのCachedリンクの掲示により、被告が当該著作物の潜在的市場に対し何らかの影響を与えたとの証拠はない。 これに対し原告は、仮に著作物を含むウェブページ用のCachedリンクを提供するとの権利を被告にライセンスすることで得る可能性のあった収益が得られず、原著作物の市場は損害を被ったと強く主張する。この考え方に立つ場合、著作物のフェアユースは常に損害を与えていることになる。キャンベル事件において最高裁はこのような主張が詭弁であると説示しており、著作者が開拓した市場、または著作者が許諾を他者に与え開拓させた市場に対する影響のみを審理している。 繰り返すと、平たく言えば、Cachedリンクを経由しウェブページへのアクセスを許容する権利を検索エンジンにライセンスすることで生まれる市場、または開拓される可能性のある市場が存在するとの証拠は同法廷に提出されていない。Cachedリンクというのは、ウェブサイト所有者が全世界に無償で利用可能にしている情報をエンドユーザーが検索エンジンを用いて得ることが可能となるという一つの手段に過ぎない。ウェブサイト所有者が自身の著作物をこのような利用に供する者に対して金銭を要求しないとの説得力を有する証拠がある。Cachedリンク及び検索エンジンによる掲示をやめさせるための既知の業界標準規約を被告が長年掲示しているにもかかわらず、文字通り数十億ものウェブページの各所有者らは当該リンクの掲示を許容する選択をしている。ディズニー、スポーツ・イラストレイテッド、アメリカ・オンライン、ESPN及びリーダーズ・ダイジェストなどのウェブサイトのように、インターネットでの発行に成熟した事業者らは、容易にそのことが拒絶できたにもかかわらず、いずれもウェブページのCachedリンクの掲示を許容している。 以上から、被告のCachedリンクが原告の著作物の潜在的市場に何らかの影響を与えたとの証拠は一切存在しないから、このフェアユースの第4番目の因子はフェアユース認定に対し極めて有利に働く。
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