滝線都市の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/12/03 05:55 UTC 版)
アメリカ合衆国東部から南東部にかけて、アパラチア山脈東側のピードモント台地が大西洋岸平野へと急速に高度を切り下げる斜面には1,500km以上に及ぶ滝線地帯(英語: fall zone)が形成されている。先史時代にまで遡る集落形成が行われてきたこの斜面は崖だけでなく場所によっては幅は何マイルにも及ぶ。 一例を挙げるならば、バージニア州リッチモンドを流れるジェームズ川は大西洋に開いた河口まで全体で一連の早瀬となって流れ下っている。 地質学的には、滝線はタコニック造山運動によって形成されて硬化した地形と、白亜紀と第三紀に大陸棚上に形成された単層で砂礫質の比較的平らな沖積平野との境界にあたる。 滝線地帯を構成する平野がいかに形成されたかについての学説はいくつかあるが、アメリカ合衆国の自然地理学者マギー(W.J. McGee)が提出した「断層・褶曲運動により単斜層として形成された」という学説が学者の間で広く支持された。なお、今日に到るもこの地帯の大部分で断層面は発見されていない。 19世紀に滝線はポトマック川のリトルフォールズやグレートフォールズのような水運上の断点を意味した。しかし、20世紀初期に給水のための水路開削や運河が建設されたことにより、単なる断点の連続ではなく、それに沿った都市の出現=滝線都市こそが滝線の最も突出した特徴となった。 さらに、アメリカ北東部メイン州からフロリダ州までの大西洋側諸都市を結ぶ国道1号線がこれら滝線都市も連絡して、あたかも滝線に添うように建設され、滝線都市をさらに強調するものとなった。 ピードモント台地東縁の滝線都市には次のような例がある。(以下、括弧内は滝線にかかる河川名) ニュージャージー州パターソン(パセイック川) ニュージャージー州トレントン(デラウェア川) ペンシルベニア州フィラデルフィア(スクーキル川) メリーランド州ボルチモア (パタプスコ川) ワシントンD.C.ジョージタウン地区、バージニア州アレクサンドリア(ポトマック川) バージニア州リッチモンド(ジェームズ川) ノースカロライナ州ローリー(ニューズ川) サウスカロライナ州コロンビア(コンガリー川) ジョージア州オーガスタ(サバンナ川) ジョージア州コロンバス (チャッタフーチー川) アラバマ州モンゴメリー(アラバマ川) なお、上記都市のうちローリー、コロンビア、オーガスタの代わりに、ノースカロライナ州のグリーンズボロ、シャーロットおよびジョージア州のアトランタを滝線都市の例として挙げている教科書・解説書もある。これらの都市はローリー、コロンビア、オーガスタよりもそれぞれ120-150kmほど内陸に位置している。
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