渓流植物の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 14:16 UTC 版)
渓流植物の大部分は陸生の小型から中型の草本または低木である。水草は一般に泥に根を下ろし、水中に茎を伸ばすが、渓流ではこのような生活は難しい。ほとんどは水際からその周辺の陸に生育する。一部に水中あるいは水上の岩に着生植物のようにして生活するものがある。カワゴケソウ科はこの方向に進化したものであり、日本産の種はすべて水中の岩の表面にゼニゴケ類のような姿で張り付いている これは、水位の変動で水に洗われる時に剥がされないためにも必要なことである。したがって、その生育の様子は岩にくっついた着生植物に似ている。滝の周辺では本格的に着生植物の姿をしたものが出現する。滝の周辺はしぶきによって水が豊富なので、一般的な着生植物が出現することもよくある。 渓流植物は、渓流環境に適応する(河川の流れの抵抗を抑えたり、流れに逆らったりする)ために、近縁な種と比較して下記のような形態や繁殖に特徴がある。 葉は面積が狭く、葉身が極端に細長くなる傾向にある。これを狭葉現象という。また、葉に切込みが入る場合もある。 枝のつく角度が小さくなる。 根が発達し、基盤に固く付着する。 早く乾燥するために毛が少ない。 花期は雨季や梅雨等の洪水の起こらない時期を選択する。 また、背の低い草や這うように育つ樹木が多い。これも水に浸かることへの対応とみていいだろう。熱帯では高木になる樹木にも、幼樹の間は渓流に適応した性質をもつものがある。フタバガキ科のDipterocarpus oblongifoliusはその例で、河川周辺で成長して大木となるが、その幼樹は葉が細いなどの渓流植物の特徴を持つため渓流の傍でも成長できる。このような植物を幼期渓流(沿い)植物という。
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