渓流周囲の生物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/22 07:47 UTC 版)
渓流の周辺域は、水際を生活の場とする生物と、森林の中でそのような地形を生活の場とする生物の見られる場所である。 水際を生活の場とするものとしては、植物ではしぶきのかかる岩の上に生育するものが挙げられる。渓流の石や岩には植物が発達しない場合もある。これは、降雨による増水が激しく、その度に堆積物が流れる渓流に見られることで、底質が撹乱されるためだけでなく、流れる砂利などがその表面をこするためである。しかし、安定した渓流では独特の植物群落が見られる。岩の上に苔と一所に生えるのであるから、その性質はやや着生植物に似る。また、河川の流れの速い渓流環境に適応した植物を渓流植物と言う。 動物では、カエル類やサンショウウオ、日本ではそれに鳥類ではカワガラス、哺乳類ではカワネズミが特有の動物として有名である。また、流れの上に網を張るクモがあり、代表的なものにタニマノドヨウグモがある。よく流れを横切って網を張っているので、どうやって糸を張ったかと不思議がられる。実際には糸を風に流し、対岸に引っかけてからこれを強化して枠糸とする。水中から脱出する水生昆虫の成虫が主な餌になっていると思われる。 より幅広く渓流周辺を考えれば、森林の中の傾斜地に挟まれた、底を冷水の流れる窪地である。本州中南部においては、平地は常緑樹林、山地は落葉樹林となるが、渓流周辺では落葉樹林がより低い標高から見られる場合が多い。トチノキ、サワグルミなどはそのような森林を代表するものである。カエデ類にもそのような場所に生育するものが幾つかある。また、湿度が高く、地形の変化が大きいので、特に照葉樹林ではシダ類の種類数が多い。照葉樹林の多様性は特に谷間で高くなる。
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