海外修行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 14:02 UTC 版)
1989年頃に初めて海外に行ったが、この時の目的はタイでムエタイ修行を行うことであった。しかし当時インターネットや携帯電話などがなかったため情報収集が難しく、そのため間違えて国際式ボクシングを行うソット・チタラダジムに入門してしまった。当時の感覚で言っても極めて初歩的なミスであった。当時のソット・チタラダジムにはボクシング世界チャンピオンのソット・チタラダ、インターナショナルチャンピオンのナパ・キャットワンチャイなど、錚々たるメンバーが揃っていた。平は世界タイトルに挑む前直前のキャットワンチャイと練習を行い寝食を共にした。平は練習を物凄い集中力で行う一方で普段は非常にリラックスしているタイの格闘家のその切り替えの巧さに感心を覚えた。練習は、30分連続で緩急を付けずにプラスチック製のチューブのような矢鱈と重い縄跳びでロープを行い、コンクリートの上で練習をしていたので3日もすると硬い方であった平の足の皮も忽ち剥けてきた。ミットとサンドバッグは4分を5R、それも全力で行い、がむしゃらな練習で体を鍛えた。一方で当時のタイのボクシングジムにおいてシャドーは実質休憩の時間なので、周囲は喋りながら適当にやったり誰も見なければ動かなかったりしていた。ミット打ちでくたくたになってるうちに足の力を抜いて蹴りを打つことを覚え、結果的には武者修行は成功に終わった。 ムエタイ武者修行ではハーパランジムにも訪れた。強すぎて対戦相手がいなくなって国際式ボクシングに転向したディーゼルノイ・チョータナスカン(英語版)、ムエタイ9冠達成のチャモアペット・ハーパラン(英語版)、当時火の玉小僧のような印象で人気があったパノントワレック・ハーパラン(英語版)などが揃っていた。パノントワレックの正気を疑うほど気合の入ったミット打ちに驚き、独楽のように軸が全くぶれず体が回って足が飛び出るようなキックであったと平は後に伝えている。チャモアペットは平がタイに着いた日にやっていたムエタイのチャンピオンカーニバルのような試合で見かけており、レベルが伯仲してKOが中々出ず退屈していた平は、首相撲から無理なく相手を崩してそこから流れ込むようにボディへの膝蹴りでKOしたチャモアペットに驚いた。チョータナスカンのスパーリングも平は見たが、パワーやスピードに頼らず予測しているかのように動く体の動きでパノントワレックを翻弄していた。
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