洪水および鉄砲水
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/02 09:54 UTC 版)
遊泳能力が乏しいため、洪水で全滅あるいは多くが死滅してしまう可能性もある。原産地であっても洪水は起こるが、河川の勾配が緩く川幅が広いため、水量は増えるが流速はそれほど速くならない。よって、原産地では海まで流される危険性は低い。しかし、日本のほとんどの河川は原産地よりもはるかに勾配が激しく川幅も狭いため、水量が増えれば流速が普段の数倍〜20倍程度になることも珍しくない。普段はほとんど流れがない場所であっても、同じ場所とは思えないほど激変することも多い。原産地では堤防が決壊し氾濫することで、流れが分散されることもある。しかし、近年の日本ではそういったことはそれほど多くなく、狭い場所に水が集中することにより、下流や河口付近であってもかなりの流速になる。従って海まで流されてしまう可能性も低くない。その際には水の勢いにより沖合数km〜十数kmまで流されてしまうと考えられる。更に、海流、潮流や波に翻弄され流されることもあるため河川に戻ることは難しくなると考えられる。原産地では汽水域に進出することが知られているが、原産地では汽水域の面積も広いため、急激に塩分濃度が変化しない。実際に移動する際も、ある程度の時間をかけて塩分に慣らすため、急激な濃度の変化には耐えられない。従って塩分濃度の変化が原因で死滅してしまう可能性が高い。仮に、それに耐えることができたとしても、海には淡水とは比べ物にならないほど多くの捕食者がひしめいており、そういった捕食者に対してほとんど無力であると考えられる。それゆえ、動きの鈍いことが災いし、なすすべなく簡単に捕食されてしまう可能性が高い。従って一旦海に流されれば、生存できる可能性はほとんどないといえる。 洪水により卵も被害を被ると考えられる。卵は水草や川底の石に付着するが、現地では水流が遅いため、流されてしまう心配が少ない。しかし日本の河川では、卵を付着させた石や水草ごと流されてしまうか、上流から運搬された土砂に埋もれてしまう可能性が高い。また仮にそれを免れることができた場合も、下流では洪水の前後で流路が大きく変化することも多い。洪水の前は水面下に産みつけられた卵も、洪水後に水位が下がった時、水面から出てしまうこともある。
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